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マガジン青春譜

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: 小学館
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黎明期日本文壇概観 ★★★★★
 明治・大正期、外来文化の流入に伴って日本では多くの作家たちが出現し、新しい思想と新しい文学への関心は日本中で高まりつつあった。孤児同然の身の上の川端康成と、家のために日々身を粉にして働く大宅壮一は、そんな新時代の文壇の様子にじっと目を凝らしていた…。

 本書で猪瀬氏は、主に川端康成と大宅壮一の二人に焦点を合わせ、黎明期にあった日本文壇の姿を描き出している。

 他にも、田山花袋、菊池寛、芥川龍之介、島田清次郎といった作家に次々に焦点を切り替えながら、世間の風潮がどういった作品を生み出し、その揺り返しとして次にどのような作品が求められたのか、ということを明快に示している。膨大な資料に基づき、時代の縦糸と横糸をほぐすように事実の因果関係を明らかにしていくさまは、読んでいて爽快ですらある。

 いつものことながら、猪瀬氏の取材力・構成力・サービス精神には舌を巻く。
 学校の国語便覧では単なる断片にしか見えなかった作家たちの姿が、本書を読むことで一つの時代に息づく人間の姿として見えてくるはずだ。

伊藤整 ★★★★☆
正直に言えば、面白く読めた。戦後を語る際に川端康成、大宅壮一の二人を外して考えることは出来ない。日本を小説の形で切実に描いた川端氏、評論の形でユーモアに描いた大宅氏、この両者の若き日々の交錯する様を書いていく。川端氏と大宅氏との交錯を橋渡しする色々な登場人物への言及が個人的には興味を持った。菊池寛、平塚らいてうなど著名な人物を二人の間に挟むことで、単なる二人の友情物語りや感動物語りに終わらせない。二人を中心に置きつつも、同時代を生きた文壇の人々を描いていく。参考資料に伊藤整の「日本近代文壇史」が入っているが、川端氏、大宅氏の青春時代の文壇史としても面白い。単に川端氏が嫌い、大宅氏が嫌いというだけでなく、明治末期から大正、そして昭和初期の二人を中心とした文壇史としても十分に読みごたえがある。