恒次郎はどこへ行った?
★★★★☆
前作シリーズでは新たに登場し、今後秀才の主要人物として活躍が期待された恒次郎が、全く影も形もなくなった。
前作シリーズからの継続であれば、半次が外から帰れば恒次郎が2階で書籍を音読しているなど、常にその存在が感じられ、半次が「ただ一人、なにを考えるでもなくぼんやりしているくつろげる一時」が持てることはめったにないはずである。
それが本シリーズでは、まるで恒次郎は半次家にはおらず、そのような一時が度々持てるようなのである。
はたして、恒次郎は自己向上のためにどこかの学塾へ寄宿するために家を出たのか、はたまた、恒次郎の所業は半次の長い昼寝の夢の中の出来事なのか−恒次郎の行方の謎は深まるばかりである。