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スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: せりか書房
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スティグマ…不名誉さを示す烙印を付された人々の振る舞いの研究 ★★★★★
 スティグマ、不名誉さを付与する指標を引き受けさせられた人々がどんな風に振舞うのか、どんな風に振舞うことが可能か、ということについて記述した一冊。
 
 構成は、「スティグマと社会的アイデンティティ」「情報制御と個人的アイデンティティ」「集団帰属と自我アイデンティティ」「自己とその他者」「様々な逸脱行為と逸脱」といった章分けで進行する。
 
 まず最初にスティグマと著者が呼ぶ性質を確定する。それは、肉体的欠陥として常人に認知されるスティグマ、精神病院への入院歴・逮捕歴・同性愛者であることなど、知られることで当人に不利益を齎す経歴というスティグマ、、人種・民族などのエスニック・グループについて付されたスティグマという三つに分類され、どのスティグマの所有者も、常人と呼ばれる人々、スティグマを持っていない人々と関係する時に、精神的に不安定な立場に立たされる。そんな、スティグマを付与された人々が、自己の不安定さを克服する為の戦略を試みる局面の違いごとに、社会的アイデンティティ・個人的アイデンティティ・自我アイデンティティ、とそれぞれ名付けられた領域でスティグマ認知、スティグマ管理・操作、スティグマ適応という対応をしていくさまを、実例を多く挙げて説明していく。

 常人たちとの関わり合いの上で、「すでに信頼を失ってしまった者」たちと「信頼を失ってしまう虞のある者」たちは違う手管を用いながらも、どちらも不断の緊張と気配りが要求され、それだけ常人が自然に行っている様々なことを意識的に行わなくてはいけなくなる。それは常人の味わうことのない疲労を常に抱え込むことにもなっているが、それだけ、常人が気づくことのないことにも気づける感受性の鋭さも結果として与えてくれる。
 また、何の緊張もなく生きていけた常人がスティグマを持つものとして生きていかざるを得なくなる例も多数記述されていて、この著作は、スティグマ所有者及び彼らの関係者だけに読者を限定していない。

 実際の日常の場で確かに存在する差別の場の記述と、それに適応する為の方法を同時に描いた一冊。
心理学を志す諸君に読んで欲しい ★★★★☆
いわゆる「障害者」のように極端に目につく場合より、むしろ目に見えない、しかしながら決定的な烙印の記号について本著は紙面を多く割いています。

その点で、現実志向の高い心理学的治療法への一つの疑問符を見て取る事さえできます。

執拗に列挙される事例を受け止めるうちに、そもそも私達が非反省的博愛行動をとる無自覚さはいかに生起しているのかという事に対して、ある示唆を与えてくれます。

障害者研究に重要な本 ★★★★★
充分役に立ちそうな本である。スティグマとは、烙印を意味し、
ここでは特に障害者あるいは被差別部族を研究対象としている。
マジョリティーがマイノリティーに接するときの注意すべきこと
が理解できるであろう。
ある意味社会階層の研究にも近いが、ブルデューと根本的に違う
のは、彼はその社会的地位が文化的遺産として子々孫々に受け継

がれる様子をモデル化するのに対して、Goffmanは今現在その立
場にある人間がどのような反応をするか、その当事者視点に迫ろ
うとする点である。
この研究は、特に企業における障害者雇用や学校での教師達の授
業方法、さらには障害者の親達などにとって多いに役立つであろ
う。