雑誌をまるごと読む人は
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ふつう雑誌の読み方といえば、とりあえず興味を惹かれた記事だけ読んで、あとはそのうち、といいつつ結局読まないことが多い。しかしこの『幽』に限っては、不規則な読み方をしたのはvol.1だけで、以後は毎号冒頭から飛ばさずに読むことにしている。
誌面構成もよくできているが、それよりも、いつも隅々まで全部読んでしまうからだ。だったら冒頭から順序に読むにしくはない。これは読まなくていいや、という記事がないのはいまどき驚異的なことである。
今号の記事では女性による百物語が面白かった。男性の語る怪談はどこか理に落ちる感じが残るのだが、怪談とはもともと理で割り切れないもの。女流怪談は理にこだわらないところがいい。
もう一つは平成雨月物語で、二編とも「青頭巾」に題材を採ったところが興味深い。それだけ原作が強烈な印象を残す物語だからなのだろうが、リメイクのしかたによってはとてつもなくグロテスクに堕するところを、うまく避けているのがいい。個人的には谷一生のほうがよかった。ラストの「あれ??」という感じが実にイイのだ。
発行が年二回なのでゆっくり読んでいるが、もしもまるごと一晩で読んだら何か起きるのだろうか。試した人がいたら聞いてみたい気がする。