A quiet moment alone.
★★★☆☆
「外向」と「内向」という言い方をすれば、
加古さんの音楽は、内側に語りかけていく。
でもその内側は、いつしか音楽でみたされて、やわらかく輝いてくる。
母の逝去を音楽にこめた1曲目が終わると、
彼方から響いてくるような音色で二胡が鳴る。
加古さんの曲は、旋律を奏でる手よりも
アルペジオを弾く手の方に深い味わいがある。
3曲目は、バンドネオンの切なげな分散和音から始まる。
4曲目はこれぞ加古隆というピアノの美しさが響き、
それに重なってチェロがメロディーを奏でる「Beautiful Days」。
宮沢賢治の詩に寄せた「永訣の朝」は、印象的なメロディーに導かれていく。
ここでしみいる響きを聴かせてくれるのが、
坂本龍一の『CASA』を名盤にしたジェキス・モレレンバウム。
彼が参加している3曲は、どれもすばらしい。