いまも生きるうたの力
★★★★★
木原敏江さんの日本を舞台にした作品には,かつての日本には自然に存在したけれど,現在ではすたれて,古典や伝承といった過去の遺産の中にかろうじて姿ををとどめたもの,あるいは思想・信仰が数多く登場します。木原さんの美しい絵と言葉で魂をふきこまれた神,仏,鬼,精霊,人の霊は強い躍動感で物語をつむいでいきます。そして今回はうた。万葉集から梁塵秘抄のうたの意味,リズム。魅力的な登場人物が旅先で出会う人々の生と引用されたうたがぴったりあっていて…。そこには現代人も共感できるものが確かにあり,うたは今でも生きてるんだな!と感じずにはいられません。自分の中に眠る日本のこころみたいなものが再発見できる一冊かもしれません!