アインシュタインの発見したことを解説した書。

広い読者層に受け入れられるような平易な文章で記載されている。数式は少なく、喩え話も理解しやすい。アインシュタインに関する本は昔から無数にあり、何を今更と感じる者もいるかもしれないが、とにかくわかりやすさに驚いた。また、アインシュタインというと、相対性理論や原子爆弾などを思い浮かべるが、液晶テレビや携帯電話など、現代社会に欠かせない多くの機器に応用されている光電効果の発見がアインシュタインによるものであることを改めて思い出させてくれた。

小生は昔読んだアインシュタイン本の復習のつもりで読んだが、これから物理学を学ぶ中高生がまず本書を読むことで、さらに高度な書に移行することを容易にするのではないかと推察される。広く他人に薦められる良書。

アインシュタインといえば難解な相対性理論を思い浮かべますが、この書はその理論を含めアインシュタインが発見した事柄をとても分かりやすく説明した本です。
しかも、全く数式を使わずに述べられていることに感嘆しました。
小さい頃に父親に貰った羅針盤の磁石に興味を持ったことから、後に科学に対する興味が芽生え、最終的には偉大なノーベル賞科学者にまでなった生い立ちなども載っています。

個人的に面白かったのは後半から登場する「光電効果」と「量子力学」ですね。非常に難しい分野ですが、比較的易しい説明で書かれていて興味が湧いてきます。
最終章には「アインシュタインと宇宙」という項目で簡単な宇宙理論が述べられています。この章に登場するインフレーション理論や宇宙の成り立ちに関しては、ＰＨＰ文庫から出版されている「大宇宙・七つの不思議」を読むとさらに興味が湧くでしょう。

無の状態とはどういうものか？　そこから生まれた宇宙とは？
アインシュタインの思考無しでは考えられなかったことが、この書で分かってきます。

昨年は国際物理年、今年は湯川秀樹、朝永振一郎生誕１００年、そしてアインシュタインが相対性理論を発表して１００年になります。本書はアインシュタインが何故、相対性理論に辿り着いたのかと言うことを丹念に説明してくれています。空間も時間も曲がる、光電効果など一般書では難解な数式でしか表せないようなことを数式抜きで解説してくれています。後半はちょっとだけ量子力学についても触れています。これを読んだ上で
岩波文庫から出ている相対性理論を読むことが出来ると思います。本来ならブルーバックスで扱うことを現代新書で扱うこの意気込みに敬意を表します。