シャハムといヴァイオリニストは音程が抜群に安定している。しかも線の太いしっかりした音を出す。
この二大ヴァイオリン協奏曲もそういった資質がよく出ている演奏といえる。音のたちあがりのキレ味も申し分ない。
ただ、シベリウスの内省的な作品の今までのイメージから比較するとやや立派過ぎる(変な表現だろうか?)個所もあるかもしれない。そこは聴き手の好みというところだろうか。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は第2交響曲と第3交響曲の間に作曲された。作風の転換期であり、ヘルシンキを去り北極圏に近づくアイノラ荘で火にあたりながら作曲した耽美的な作品だ。ところで、このシャハムの演奏はなかなか脂がのっており、これはこれで聴いていて爽快だ。
さしあたって、いい演奏であることは間違いない。チャイコフスキーはメンデルスゾーンとのカップリングで国内盤が出ていたが、シベリウスは国内盤では出ていないので、シベリウスを聴くためにはこの輸入盤をどうぞ。