近代建築史の副読本
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ベストセラーになったといわれる「建築MAP東京」(1994年、2003年改定版、TOTO出版)は1980年(一部1958年も含)から1994年までの建物を紹介、「建築MAP東京・2」(2003年、TOTO出版)は1994年以降から2003年までの建物を紹介する本です。
これに対して本書は1891年の佐竹七治郎の日本水準原点標準が含まれるように、現物を見て日本の近代建築史が学べるようにすることも重要な編集方針となっていると思います。書名には「東京圏」と書かれていますが、神奈川エリア、埼玉エリア、茨城エリア、千葉エリアが含まれ、全455作品に対して写真とそれに対する短い解説に続いて、竣工年、設計者、住所、最寄り駅のデータが掲載されています。(以前、「建築ガイドブック〈東日本編〉」を片手に旧い建物巡りをしていましたが、この本の現代版のようにも思えます。)
本書の「はじめに」で建築をながめる場合、それが建つ土地の歴史、都市の性格の理解が必要として、各エリアの紹介のはじめにエリアコラムとして地域の成立の歴史が書かれていますが、この部分は実際に建物を見る上で参考となります。