このピアニストはマニアの間ではかねてから評判であったが、一般的にはまだあまり知られていない。しかしこの人はアムランと共に確実に現在のヴァーチュオーゾの一人である。ブラームスのような古典はもちろんのこと現代曲に至るまで幅広いレパートリーをこなすのもアムランと共通している。ブラームスの協奏曲は、私の好きな曲の一つで生演奏でもいろいろと聞いてきたが、ハフのこの録音は、その中でも私のリファレンスになってしまうほど完成度が高い演奏である。
著名な演奏家でも(CDは修正が利くので)、CDを聞いてから生演奏を聞きに行くとがっかりすることがよくあるが、ハフは技術的に傑出しており、彼ほど完璧に演奏できる演奏家は他に何人いるだろうかとさえ思う。とにかくこのCDも彼の魅力を満喫できる最高の一枚である。