ブラクストン渾身のサックス・ソロ
★★★★★
サックスによるソロ作品というと、テクニックだけが前面に出ていて、CD1枚を聞きとおすのは正直しんどい、と考えている方はかなりいるのではないかと思われる。だが、アンソニー・ブラクストンのそれは、他のサックス・ソロ作品とは一線を画す。
確かに、ブラクストンのサックス・ソロも人間離れした演奏技術を聞くことができる。けれども、例えばジョン・ゾーンのサックス・ソロで聞けるような、曲芸的なテクニックのオンパレードで終わっていないのがブラクストンの凄いところ。彼のサックスは、とにかく「歌っている」のだ。サックス1本だけでここまでメロディアスな表現ができるのは、世界広しといえどブラクストンただ一人だけであろう。
ブラクストンのサックス・ソロは、阿部薫のそれと実に対照的である。このことに興味があるなら、聞いてみて損は無いだろう。
評価/100点中85点