さすがスティング、選曲センスが素晴らしい
★★★★☆
ロックスター、スティングがジョン・ダウランド(1563年生まれの英国の作曲家/リュート演奏家、生まれはダブリンとの説もある)の曲を歌ったもの。共演のリュート奏者はエディン・カラマーゾフ。
あまりロックとの結びつきを強調するのは野暮だが、ロビー・クリーガーやピート・タウンゼントなどのクラシックギターの影響を受けたアーティストのファンならば、あるいは彼らを通じてセゴビアやイエペスに接した人ならば、容易に入り込める音楽である。
各地を放浪する音楽家が王侯の情報源となっていた、との解説の学者の話も面白い。緑の多い英国の庭の映像は美しい。しかも表紙の写真とタイトルのように、迷宮らしく謎めいている。
なお自作の名曲“Message In A Bottle”の他、米国の1930年代に活躍したブルーズマン、ロバート・ジョンソンの”Hell Hound on My Trail”が演奏されている。ダウランドと組み合わせるスティングの選曲センスと、アップテンポの解釈が素晴らしい。カラマーゾフがブルーズ曲を演奏するのは初めて(ブルーズらしさは排除している)。
(付記)日本版解説にはジョンソン(1583-1633)と書かれているが、これは大間違い(1911-1938)なので、担当者は反省するように。不思議なことに、歌詞は8曲分だけ付いていて、日本語の解説は無い。英文解説は1ページだけである。