バイロイト音楽祭の第9、バイエルン ラジオ放送局のオリジナルテープを使用
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当 ORFEO 盤は Bayerischen Rundfunks バイエルン ラジオ放送局のオリジナルテープを使用した、Wilhelm Furtwanglerによる 7/29/1951 バイロイト音楽祭の第9"合唱"。ライブというふれ込みで知られてきた EMI 盤は、この日の演奏とは異なるものから明らかに編集・修正を施されている... とのライナーノーツ。70 年代から、EMI盤 LP Breitlang stereo、CD Breitlang、足音・拍手入り盤、Delta Classics による復刻盤と聴いてきて、永年のファンには信じがたいことである。
輸入し現在慎重に聴いている。
ORFEO 盤 74' 32 EMI日本 TOCE-3007 Breitlang stereo 8/30/1995販
1 Mov 18' 10 17' 46
2 Mov 11' 56 11' 56
3 Mov 19' 23 19' 33
4 Mov 25' 01 24' 54
Timing 2楽章は同じ、3楽章は当盤が10秒短い。両端楽章はよりゆっくりめに演奏されている。例のアゴーギクによって緩急自在なものだし、両者の仕方は非常に似通っている。
ORFEO盤 冒頭からある種の雑音や、臨場感には気づかされ、聴衆の咳もはっきり聞こえる。モノラルの音を差し引いても、管楽器の美しさ、弦を含めたより緻密な明確なアンサンブル。極端なピアニシシモをはじめとして、ダイナミックスは大きく、フォルティッシモ、アタックの迫力、リズムの切れ、低弦のピッチカート... いつものフルトベングラー節。
合唱入りの4楽章は、聞き所も多い。Freude!(Bass) Freude!(合唱)は、一瞬の遅れもなく見事に決まっている。ここで初めて声出す合唱のアインザッツとして指揮者は前2拍を足で踏んでいる。(実演の彼ならやりかねないが、"1,2,3"と明確) ソプラノのフォルテなどはモノラルの音ではつらい印象もある。疑似ステレオ盤を持っておられれば、広い音場や自然な楽音は捨てがたいし。
今更、どちらのプロダクションが本物、偽物の議論をリスナーがするメリットは少ない。どちらもすばらしいし、EMI 盤は(にせとしても)バイロイト音楽祭の第9の名を高めてきた。どちらが、音楽的に優れているか。これはリスナーそれぞれ判断は分かれるかも知れない。
今は ORFEO 盤を中心に聴いているし、私の嗜好はこちらに傾きつつある。最初に書いた事実が真実であるとしても、それを受け入れるのには時間がかかる。何100回、何1,000回となく聴いているのだから。