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バッハ : インヴェンションとシンフォニアBWV772-801

価格: ¥3,675
カテゴリ: CD
ブランド: ソニーレコード
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ピアノへのこだわり ★★★★★
1964年3月18・19日録音。1→2→5→14→11→10→15→7→6→13→12→3→4→8→9の順に演奏されている。これは言ってみればハ長調・ハ短調で始まり、ヘ長調・ヘ短調で終わるという試みである。
演奏の前にグールドがこだわったのはピアノである。デビュー以前からグールドが愛用していたのはシムコー湖畔の別荘にあった1895年ボストン製のチッカリングだった。このチッカリングというピアノはハープシコードに限りなく近い触感と即時性を持ち、キーの沈みとアフタータッチとの間に微妙な均衡があったと言われている。この『触感』にグールドは生涯こだわる。1955年1月にデビューした時はニューヨークでスタインウェイCD174に惚れていた。グールドはCD174にあの『触感』を蘇らせようと鍵盤の表面をざらざらにしキーの沈みを浅くした。苦労して作ったこのピアノは1957年3月運送業者のミスで破損、1960年地元トロントのイートン・オーディトリアムに置いてあった1938年製のCD318に到達する。このピアノが本作に用いられているピアノである。
このレコーディングは実は1963年9月18日にスタートしたのだが、グールドがその『触感』が気に入らずピアノの調整を続け、6ヶ月後の1964年3月18・19日録音となったのだ。
これほどのこだわりを持って作り上げたこの録音にCBSとスタインウェイが気に入らず物申すこととなる(●^o^●)。紆余曲折の様を天国のバッハはどう思ったろう。かくて唯一無二のインベンションとシンフォニアBWV772-801がここに完成する。

グールドの閉じた世界のバッハは僕には必要不可欠なものである。そしてこれからも多くの人にとってもそうなるだろう。そこはCBSもスタインウェイも無関係な『触感』のバッハだ。

小宇宙。 ★★★★★
グールトの演奏は決して模範的とは言えないが、なんとも味わいのある魅力的
な演奏だと思う。
まさに小宇宙。
もうピアノを辞めて何年にもなるが、もしまた習うとしたらインベンションと
シンフォニアを極めたいと思っている。
バッハの特徴を余すところなく表現 ★★★★★
「インヴェンションとシンフォニア」はバッハの長男ヴィルヘルム・フリーデマンの教育から生まれた.インヴェンションは全て2声,シンフォニアは全て3声であり,見開き2ページの短さの中でフーガほどは対位的ではないが,高度なポリフォニーを展開している.同時にテーマが独創的でリズム感があり,全く飽きさせない.唯一の難点としてはインヴェンションとシンフォニアの対応する調の曲の組み合わせがあまりよくないことだろうか.

グールドの演奏の中で最も感動的なのは,7番ホ短調,9番ヘ短調,13番イ短調の組み合わせだろう.インヴェンション7番では,5小節の第2音FisをグールドはFで弾いているが,憂いの効果が出てよい.シンフォニア7番は,短6度上行のテーマ,後半1/3から多用される減7度の和音,37小節!と42小節のカデンツ,40・41小節のソプラノとアルト声部におけるテーマのストレッタ43小節の10度跳躍を持ち,バッハの特徴を余すところなく表現した曲である.10度跳躍はインヴェンション9番で,減7度の和音はインヴェンション13番でも出てくる.インヴェンション13番ではグールドは爆発的な速さで演奏し,コーダ部でリタルダンドしてシンフォニアに移行するが,それはプレリュードとフーガを聴く思いである.シンフォニアは3重フーガに近い形式で,41・42小節で第2のテーマがソプラノで奏でられながらアルトとバスで第1のテーマがストレッタで入るところは緊張の絶頂である.

グールドを通して聞く独特のバッハ ★★★★★
 以前、チェンバロでこの曲集を聞いたことがあるが、このCDでは全く違う曲を聴いているようだ。まず、全体を通して非常にテンポ、強弱の幅が広いように思う。それに加えてグールドの個性ある弾き方があるのでとてもおもしろい。また彼の歌(?)も入っているのでそれもまたおもしろい。また、中には55秒で楽譜にして二ページを弾いているものもあるので度肝をぬかれた。自分は速い曲が好きなのだが、これほど速いのを聞いたのは初めてだ。
 グールドと言えばバッハのゴールドベルクという人が多いと思うので、それを聞いた人は次にこの曲を聞いてはいかが?