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ローマはなぜ滅んだか (講談社現代新書)

価格: ¥777
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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モラル崩壊の果てにローマは…。現代日本社会とも共通性があると思う。 ★★★★☆
だいぶ前の本ですね。これを買ったのは。それで書棚の中で埋もれていたのを整理した拍子に読んでみたところおもしろかったのでつい、ハマってしまいました。ローマ帝国の空前絶後の繁栄は、本書の出版当時のバブル期の日本とだぶります。ローマ帝国の最盛期には貧富の差が激しくなっており、これも日本に迫りつつある超階級社会の到来を予感させます。それに、裕福なものは競って、宴を催し、次の宴に出席するためにわざわざ、吐いてまで、空腹にして出かけた、というではないですか。唖然とします。しかも吐き捨てられた食物は路傍に捨てられ、貧しい民衆の眼前にさらされていたのです。ドンチャン騒ぎの果てに崩壊していくモラル。これもバブル期の日本と重なるように思えます。一般に五賢帝時代をローマの平和というそうですが、どっこい、その平和の裏には、大規模農園でコキ使われる奴隷の存在が支えていたのです。私はギリシャ時代にあこがれを持っていましたが、奴隷制を容認していた当時の哲人たちもローマ人とは変わりません。古典もそういう視点で読み返してみると、考え方が変わるかも。こんどはセネカあたりの著作を読んでみたいなぁ。
中心と周辺 ★★★★☆
女性解放、ローマの悪徳など、塩野七生氏の著作に触れたことのある人なら、ローマの滅亡とは直接関係ないとわかる、そういう意味では古臭い議論に多くのページが割かれてはいるけれども、本書には感心させられる論述も含まれていて、それは最終章で展開される。著者はかつての「周辺」に新たな「中心」が形成されるという史観の下、そのかつての「中心」であったローマが優越者意識を拭い去ることができず、それ故「周辺」を取り込むこと(ゲルマンの要素を取り入れてローマを変質させること。何やら変わらないでいるためには自分を変えていかなければならないという最近の某政治家の発言にも通じますね)に失敗し、「周辺」の大小の渦の中に埋没したのが、ローマ(特に西ローマ)の滅亡の原因だと説く。この史観そのものが今でも通用するかは、アメリカが当面「中心」の座をおりることがなさそうで、世界の富める国と貧しいままの国の二極化がますます固定しそうな状況においては議論の余地がありそうだが、アジアの中で勃興する中国・インド対日本という文脈で考える時には、様々なことを考える上で依然として有効な部分があるのではないかと考える。そして何よりも、ローマ史ファンが心待ちにしている「ローマ人の物語」シリーズ最終巻はまさに「中心」対「周辺」の物語になるはずで、そこにおいて塩野氏が提示するであろう史観を予測・予習する材料として、本書の最終章を一読しておくことは意義があると考える次第である。
退廃した古代ローマ末期は、現在にも通じる ★★★★☆
古代ヨーロッパを支配し、その後の西欧世界の原型を形作った古代ローマ。この本では、そのローマが滅亡した原因を、細部に亘って説明している。
帝政ローマの末期、市民のモラルは徐々に低下していった。富める人々は、夜な夜な開かれる宴で、高価な美味を集めて食し、それを吐いてはまた別の美味を味わうといった贅沢を謳歌することも珍しくなかった。人々の性のモラルも崩れ、浮気を繰り返していた皇帝の后もいた。そして、平和はもはや当たり前のものとなり、市民たちはそのために自らを捧げようとはしなくなっていった。
この退廃した超大国にとどめを刺したのは、ローマ人から蔑まれつつ、一方でその軍事・行政能力によって、ローマになくてはならない存在となったゲルマン人の、傭兵たちだった。
21世紀に生きる私たちにとっても、戒めの多い本である。
interesting book, but..... ★★★★☆
 とても面白い本て゛す。  ローマ史に関心のある人には一読されることをお薦めいたします。

    しかしながら、”性風俗の頽廃”や ”女性の解放”などを記した部分を読むと、やはり「時代遅れ」の古臭い感覚を今なお引きずっている作品だとの感を否めません。「無知な」読者はややもすると、ローマの衰退・滅亡にこうした要因が関与しているかの如き錯覚と誤解を懐くかも知れないからです。ローマの滅亡を云々するのなら、やはり軍人皇帝の時代からローマがキリスト教化された真の意味での「頽廃期」に焦点をあてるべきだったかと存知ます。