可愛い生き物を見るとつい指を差しだしてしまう方へ
★★★★★
ある日、学校の保健室から連絡が入りました。
娘が生物の授業中、ヘビの赤ちゃんに指をかまれたとのこと。
(教室外=緑豊かなキャンパスの授業中です。)
本書を愛読していた娘は、「アオダイショウの幼生で、毒はないから大丈夫」と
慌てる養護の先生を言い含めたとか。
本書は’彼ら’目線の写真が多く、写真集や読み物としても楽しめます。
身近な個体が中心ですから、ヘビマニアやカエルマニアには
おすすめしません。
しかし、身の回りの生物がおかれている憂うべき問題の提示
(傷ついた個体の掲載や特定外来種について)など、
単に可愛いらしさだけを取り上げているのではない点を評価します。
両生類・はちゅう類入門書として、またピクニックのお供にどうぞ。
16p 〜サンショウウオイモリ図鑑
カエル図鑑
カメ図鑑
トカゲヤモリカナヘビヘビ図鑑
68p 〜観察してみよう・秘密を探る
116p〜大きくなるということ
140p〜身近に起こっていること
地球はみんなのモノなのだ、と再認識
★★★★★
とってもポップな表紙に思わずにっこり。
普通は無地の表紙をひらいてすぐの見返しにまで
キュートな生き物の写真で飾られていて、著者の
並々ならぬ意気込みを感じる。
本を開けば、全篇に流れる小さきものへの愛。
まさに生き物賛歌が響いてくる。
野鳥・蝶・甲虫などが生物ウオッチングの華とすれば
この本に登場するカエルやサンショウウオ、トカゲや
ヘビたちはちょっとアウトローかもしれないけれど。
これだけ生きいきとした表情の写真が満載されて、
タマゴ一覧や、脱皮プロセス、カエルやヘビの背中模様一覧
スッポンの腹模様一覧と、これでもかと、多方面からの
魅力をみせられると、思わず可愛いとつぶやいてしまう。
若き日の夫が飼っていたトウキョウサンショウウオを
溺愛していたことも理解できる気がする。
もちろん、物言わない彼らの生息地はどんどん狭まっていて
彼らの生きぬいていき難いその苦境をキチンと言及するのも
忘れていない。
これらの生き物が元気でいる地球を残すことこそ我々の
努めと思わせる。
オトナも子どもも十二分に楽しめ、学べ、考えることができる。
「国際カエル年」に、記念すべき本の誕生に大きな拍手を
送りたい。