読後、静かな感動を呼び起こしてくれる
★★★★☆
本書(下巻)は2000年9月に上梓された
『From Third World To First, The Singapore Story : 1965-2000
Memoirs of LEE KWAN YEW』の邦訳。
(ちなみに上巻は1998年9月刊の『The Singapore Story
Memoirs of LEE KWAN YEW』の邦訳)
前巻が氏の生誕から、シンガポール成立までの事柄を
時系列で追っていくスタイルであったのに対し、
本巻では、1.経済や軍事等様々な側面から見た国造りと、
2.国家別のシンガポール外交史が項目別に語られている。
前巻にあった、共産主義者との闘いといった
手に汗握る記述は少ないが、国造りにあたっての数々の困難と、
それを乗り越えてきた努力の歴史が書かれた前半部分は、
読後、静かな感動を呼び起こしてくれる。
後半は各国リーダーの個人的印象論が多く
やや退屈に感じる部分もあったが
直接出会った当事者だけが識る、貴重な証言ではある。
独裁者ではない真の民主主義者
★★★★★
シンガポールには、何度か旅行しているがこの本を読んでから訪れるシンガポールは、一味違った印象に映る。
どのように国家を育てていくのかという苦悩は、まるで学校の教師の用でもあり、親のようである。
国家とは何かを考えさせられる一冊である。
政治は崇高な職業
★★★★★
リー・クアンユーさんの著作を読むと、政治は最も重要で崇高な職業だと思えてくる。このような最高の人材が、全知全能をシンガポールの繁栄のために捧げた人生は、比類なく美しい。資源なき(飲料水さえも輸入しなければならない)、多民族で熱帯の湿地帯の即刻破綻しそうな小さな島を、公園のような魅力ある先進都市国家に導いたのは奇跡に近い。全編が含蓄に満ちているが、特に第13章の緑のシンガポールは、ほんとうに感銘深い。60年代、街はスラムであり、悪臭に満ちていた。「クリーン&グリーン」運動は、公共の草花を踏み荒らしたり、盗んだり、ごみや痰やつばをまきちらす、人々の悪しき習慣から変えていく、創意・根気・叡智の限りをつくした決して容易でない、長い歳月を要した施策であったことがわかる。上・下巻で1000ページの大部だが、読むに値する稀有な書である。
日本の構造改革にも大きな示唆を与える書
★★★★★
シンガポールの近代社会制度の建設過程をリークワンユーの目を通して克明に描いており、社会保障制度や政治制度、マスコミと言論の自由のあり方など、日本の政治・行政システムや経済システムの構造改革にも大いに参考になる。また、後半の各国別シンガポール外交の歴史は、アジアの近代史を学ぶ上でも、日本に欠けていると言われる、いわゆる首脳外交のあり方を大いに考えさせるもの。
Singapore's Amazing Transformation
★★★★★
An excellent book recounting the short but brilliant history of Singapore. LKY writes clearly and succinctly about Singapore's development into a dominant force in Southeast Asia. I learned so much about international politics and about what it takes to make a stable country. The book recounts Singapore's relationship with the U.S., Japan, Indonesia, Malaysia, China, and other countries. LKY is truly one of a kind, without him, the world would be a poorer place.