それから半世紀以上が過ぎ、木谷実九段は亡く、呉清源九段は引退、
ご高齢。しかし、木谷九段との友情と若手棋士への期待を胸に、呉先生
は今なお囲碁界へ提言を続けておられる。
それが「21世紀の碁」である。地を取るかまたは厚みか、戦いか和平
か。そういった《偏った考え方》ではなく、盤全体の石の調和を
どう保ちつつ最後に勝つか。いわゆる『バランスの囲碁』である。
文章で書くと難しく思うが、何てことはない。
「石と石とのバランスを大切にすれば、定石を打たなくても勝てます」
というのだ。それをよく読み、碁盤に並べるとよい。必ず、
「なるほど、そういうことか」
とうなずいてしまうと思う。
この本は布石からヨセまで書かれているので、一気にやろうとすると
くたびれる。だから、このようなやり方がよいと思う。
1.5級以下
並べるときは一生懸命に、早く並べる。20手、30手まででもいい。
文章は後で読む。分からないことは気にしなくていい。面白い手がもし
見つかったら、今度はそれを何度も並べてみる。
2.4級~初段
簡単な解説も並べ読んでみる。なるほどと思ったら、また繰り返し
並べる。
3.2段~3段
実戦の定石と呉先生の解説の比較。なぜ、実戦が悪いのか考えてみる。
この本のように、先生は長年提言をされ続けている。その間に、先生
ご自身が工夫され、変えられたこともたくさんある。
本に学び勉強されるのはおおいによいが、そんなことを思いつつ、
楽しまれるのがよろしいと思う。
この本は、現役時代に打たれた呉先生ご自身の囲碁の解説である。その先生ご自身が
どのように変わられたか、その心もヨメる様になっら楽しいと思う。
これに早く気づき、楽しむ事のほうが大事だと思う。当然、
『新布石論』と比べても大いに進化している。それに気がつけば、
打ち碁並べはもっと楽しくなると思う。
この本を通じて、たくさんの棋譜に出会えることはすばらしい。
初級者も、高段者も、どんどん並べてもらいたいもの。