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Witness for the Defense: The Accused, the Eyewitness and the Expert Who Puts Memory on Trial

価格: ¥1,524
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: St Martins Pr
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目撃証言の証拠能力を問うノンフィクション ★★★★★
 刑事裁判において、物証に乏しく、目撃者の証言によって被告の有罪か無罪かが決まることがあります。犯人を目撃した数名の人物が特定の一人を「犯人」と識別したとしたら、それは極めて強い証拠と感じられるでしょう。

 ところが、頑強と思える目撃者証言の有効性に、本書は強い疑問を投げかけます。被害者もしくは数名の目撃者が自信を持って「無実」の人を犯人と断定することがあること、人の記憶は想像以上に容易に変化し得ること、そしてその事実は人々に知られていないことを教えてくれます。

 著者のロフタス教授は記憶に関する認知心理学のエキスパートです。法廷での目撃者証言の信憑性検証の専門家として、数多くの裁判に関わってきました。本書では、著者が関与した、物証に乏しく状況証拠や目撃者証言によって争われた8例がノンフィクションとして紹介されます。強姦や殺人犯として捕えられた被告、被害者や検察の主張、目撃者の証言、そして目撃証言に対し著者が行なう分析と根拠が豊かな理論説明と共に描かれ、人の記憶がいかに変容し、かつその人自身にいかに統合されていくかが鮮やかに示されます。

 著者の法廷での役割は、目撃者証言の信憑性の専門的検証に徹することですが、著者には正義のために無実の者を救いたいという強い思いがあります。理性と感情は時に相反して働き、苦悩する著者の姿は、人が人を裁くこと自体の宿命を体現しているように思えます。

 ノンフィクションでありながら一級のサスペンスのような魅力を持ち、かつ、記憶の変容過程に関する心理学的研究を生々しい事例を踏まえながら理解することができるという、希な本だと思います。