父親の命令で初対面の人と結婚させられたヒロイン。
６ヶ月後には離婚すればいい、というかりそめの関係から徐々に愛を見つけて
いく話、なんですが。
それ以上にヒロインが自分を鍛え直し、また自分に自信と誇りを見いだしていくという
自己再生の話でもあります。
ヒーローも命の恩人の頼みとあって、したくもなかった結婚をさせられるわけですが
そこで人を愛する事を学んでいきます。
ヒロインが辛い目に遭う前半は読んでいてちょっと痛々しくもありますが、
ラストの打ちのめされ、ヒーローが追いかけてくるあたりはもう盛り上がりも最高潮！
動物好きの方は、動物嫌いだったヒロインが動物たちの愛を勝ち取って行くあたりも
楽しく読めると思います。

あらすじから受ける印象とは違う、内容が骨太な話。
わがまま放題のお嬢様が、迷惑をかけまくる話かと思ったら、
「世間知らずで心の優しい、素直な女性」が苦難に立ち向かう話でした。
きゅんとくるシーンもちょいちょいあり、
お互いに人間として成長するだけでなく、周りも釣られて成長する温かみがあります。
愛を信じられなくなり、ヒロインが取った行動に少しだけ違和感を感じましたが、
象やトラとの触れ合いの場面を描いた部分で補って余りあります。
☆４つにするか悩みましたが、あっという間に読めたので５つ。

フィリップス、面白いのですが、一作、一作がいつも長いので、いつも買う前に躊躇するのですが。

今回は・・・すばらしい。主人公二人がとても魅力的にかけています。特にアレックス、こんな男性はとっても現実には存在しないと思いますが、ただデイジーに意地悪するところは、かなり現実的。デイジーも可愛らしく、現代のおとぎ話というかんじかな。

心にグッとくる作品です。甘やかされたお嬢様だった主人公デイジーが、
無理やり結婚させられた夫との厳しい生活と、サーカスの動物たちとの
心のふれあいを通じて成長していきます。

ユーモアたっぷりの会話と奇妙な設定のストーリー展開の中に、
自分探しというすごく普遍的なテーマがあって、
ロマンス小説嫌いの人にもおすすめできます。
娘を絶対に認めようとしない父親との葛藤と、
死んだ母親に対するコンプレックスに無意識のうちにとらわれている、
自分との戦いを乗り越えていくデイジー。

人と比較せずに、自分がなれる最高の人間として
自信がもてるようになるって、すばらしい！感動しました。

裏表紙のあらすじを見て、うーんどうかなあ・・・と思いながら読み始めた本。最初はこんな設定絶対ない！！と否定的だったにもかかわらず、二人のことが次第にわかってくるにつれて、なんだか「こんな話もありなのね」と、妙に納得してしいまい、ついつい夜更けまで夢中で読んでしまいました。そして、読み終わってなんか私まで幸せになれたようで・・・子供が夏休みでストレスたまりがちな今日この頃。家にいながら、得した気分です。