インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)

価格: ¥798
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
Amazon.co.jpで確認
自転車レースを題材にしたミステリー小説としてはまずまず ★★★☆☆
同じ自転車ロードレースを題材としたミステリー小説である、近藤史恵の「サクリファイス」と比べると、物語の疾走感では劣るが、自転車レースのディテイルの記述に関しては、こちらの方が読み応えがある。ただ、物語の結末が、やや中途半端な感じがして、読み終わった後の爽快感がイマイチ足りないと思った。物語の最後で、主人公響木のチームメイトである越前屋が死んだのか生き返ったのか、そのあたりの記述も不十分な気がする。
全体としては、一読の価値はあると思います。
サイクルロードレースをテーマにした本格的な冒険小説 ★★★★☆
戦前の日本を舞台に開かれた本州縦断自転車ロードレース。その白熱の行方を描いた作品である。’04年、「このミステリーがすごい!」国内編第5位に堂々ランクインしている。

戦争の足音が忍び寄る昭和9年、ある男がとんでもないレースを計画し実行に移した。山口県下関から青森県の三厩(みんまや)まで、本州を自転車で縦断するという<大日本サイクルレース>である。しかもレース用ではなく、泥よけや荷台がついた重たい商業用自転車を使用するというのだ。しかし人気は上々、海外からの参加も含めて、決して安くない参加費を工面して、高額賞金目当てに、大人数が参加する。それを取材する側もフランス人などがいて国際的だ。

山師的な主催者の狙いや、レースの裏にちらつく軍部の影、アマチュア化に逆行する大会に反対し、妨害を画策するブルジョア競技団体の動き、さらに、謎めいた参加者たちの真意など、さまざまな思惑がレースの背後で複雑に絡み合い、ただでさえ過酷なレースはより厳しいものになっていく・・・。

はじめは個人参加だった響木は、越前屋、望月、小松という、一癖も二癖もありそうな者たちに声をかけ、寄せ集めのにわかチームを結成してレースに挑むのだが、彼らの運命は・・・。

本書は、昭和不況の後遺症にあえぎ、戦争の泥沼にはまり込んでゆく時代を活写しながら、同時に自転車レースの魅力をたっぷりと描いた、冒険小説の傑作である。