「思想家 河合隼雄」はすでに読んでいましたが、どちらも面白かったですよ。プロフェッショナルな知識はわからんのですが、人文書として普通に面白かった。カウンセラーがどうやって夢分析していくのか？どんな心境や思考で臨んでいるのか？そのときクライエントは何を思うのか？など。サラリーマンの私には新鮮な世界でした。河合先生の仕事への厳しい姿勢ととりまく（当時の）弟子や家族のそこはかとない畏怖、反面オフは無邪気な面もあったりしてなんとも不思議。コンステレーションってのは印象に残りましたね。ぜひいろんな方に読んでほしいです。専門家が読んだらまた違った評価になるんでしょうが。

河合先生の多くの著書で感じられる、厳しさ（恐ろしさ）が、書かれています。河合隼雄の厳しさを直に経験された方々が当時の状況について語っておられます。

「何もしない」「人間力」を信頼する。　
　谷川「頑張ったわけじゃなくて…詩を書かないことが一種のリハビリになっていた」
今の時代にこそ必要な自己治癒力を引き出し続ける言葉が求められる。
事例概要、来談者(２５歳、女性)主訴「何をする気も起きない、何をやっても楽しくない」生育暦・現病歴・家族・面接経過…夢をよく見るということだったので、夢を書き留めて持ってきてもらう。心理療法だけで経過をみる。週１回、５０分面接(保険医療)の治療契約を開始する。それを「箱庭」という具体的に「よく見える」形でイメージする。それが現実を良く見ようとすることに通じる。「クリスマスでにぎわう町」を作っているのも、現実の中にもどりますというサインに見て取れる。
　このような事例記録の研究報告が数例挙げられている。
　心理療法を続けていた河合隼雄。それは多方面にわたる活躍の基本であり、その経験は本著作にも反映されている。臨床の際の生の声を収めた「河合語録」や事例発表の記録は読み応えがある。