「ネオ・クラシカル」というと、イングヴェイの歴代シンガーのような、卓越した高音ヴォーカルを思い浮かべるだろうが、このヴォーカルはちょっと違う。結構荒れた割れ声で、ブギー調のシンガーである。ところが、これが意外にもクラシカルなサウンドに合っている。「クサイ」メタルになりすぎないのが良いのかも知れない。
あまり高音の出ない、レンジの狭いヴォーカルなのだが、メロディーが思い切りキャッチーなので、殆ど気にならない。
前作は殆どが4分以下の超コンパクトな楽曲集だったが、今回はもうちょっとドラマティック。コツコツ・・・という足音と共に遠くからイントロが聞こえ、一段ラウドになって曲に突入していく「Intro~Wasted Time」の構成力は見事である。
ミディアム・テンポの「Ten To Life」も安心して聴ける佳曲だし、ピエロの悲哀を歌ったタイトル曲「Crown In The Mirror」は劇的なバラード。インストも交え、ラストの「Epilogue」まで一気に聴かせる。某メタル誌で95点が付いたのは伊達ではない。
さて本作は、発売当初のオリジナルではなく、再発売。これに際し、先行EP「Crown In The Mirror」のカップリング曲がボーナスとして追加されている。ただし、アルバムとは別ミックスだった肝心のA面が収録されていない・・・。
実は完成度はEPの方が高かったのである。というのも、アルバムは全体的に何だかヴォーカルが奥に引込んだようなミックスだからである。EPヴァージョンはヴォーカルがくっきり聞こえて、個人的にはこっちの方が好きだった。本作発売で、EPは廃盤になってしまったようで、私のようなマニアには非常に残念である。
まぁ、EPを知らなければ、楽曲はいいし、曲数も増えて、お得なアルバムであると言えるだろう。よって点数に影響はなし。