交響曲第4番は、冒頭のファンファーレから大胆にリタルダンドしているが、ニューヨーク・フィルの金管セクションの強力さを実感させる。主部に入っても弾むようなリズムはそれほど強調せず、じっくりとしたテンポで、一つ一つのメロディをていねいに再現してゆく。木管楽器で始まる第2主題(?)もしっとりとした感じで美しい。チェロの響きもしなやかだ。展開部(?)は、リズミカルな所とレガートな所の対比を意識し??巧みな演出が見られ、クライマックス(弦楽合奏が、ラララーラー、ラララーララーと繰り返す所)は、やや抑えたような感じもあるが、決して広がりに欠けるものではない。終結部では、やや唐突にテンポアップするが、繰り返し聴いているうちに慣れてきた。第2楽章は、このディスクで最も心のこもった音楽だと思う。冒頭のオーボエの音色からして深い哀感をたたえている。そして、民謡風のメロディをやさしく愛撫するようにシェイプしてゆく。トリオの部分も雄大で、春を待ち焦がれる北国の民の祈りの声がこだまするようだ。主部に戻ってからは、さらにテンポを落とし、幻想性さえ感じさせる表現となる。バレエ・ダンサーの軽快な足さばきを思わせる第3楽章では、ニューヨーク・フィルの一糸乱れぬピチカート合奏が楽しめる。第4楽章も、比較的ゆっくりしたテンポで進んで行き、冒頭の動機が力強く繰り返されたあと、やはりアッチェランドしながら曲を閉じている。フルトベングラーとウィーン・フィルの演奏に似ている所もあるように思うが、私は、作品への愛情において、バーンスタインのほうが優っているように感じた。
いっしょに収められた幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」(何てすてきなカップリング)も、たっぷりと時間をかけた名演奏。特に中間部の、深い悲しみと限りない憧れをたたえた表現はすばらしい。