インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

高慢と偏見とゾンビ(二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

価格: ¥1,000
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: 二見書房
Amazon.co.jpで確認
設定に一瞬度肝を抜かれる ★★★★★
ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」のパロディ小説なのかなと思っていました。
ところが、ストーリーも語り口もほとんど「高慢と偏見」そのものです。
何でもこうした小説を「マッシュアップ小説」と言うのだそうですが、この場合も「高慢と偏見」と言うオリジナルの小説に、舞台設定だけゾンビが跋扈する不安一杯の世界と言う要素を加えています。
そのために、女性の魅力の要素に「戦闘能力」が加わってくるという訳です。

しかも、このゾンビ対策に、彼女たちが修行に出かけるのが、中国であり日本であると言うのは、ちょっと驚きです。
太極拳の師匠の名前が会話に登場するだけでなく、ニンジャが何人も登場し主人公と戦います。
おまけに、金持ちの女主人はゲイシャを連れて歩いたりと、何か作者の異常なオリエント嗜好が見えてきます。

そうした、日本人からするとどうかなあと言うマイナス要素はあるものの、「高慢と偏見」をここまで見事に解りやすくしてくれて、読みやすくしてくれていると言うプラス要素の方が圧倒的です。
ちょっと度肝を抜かれた感じですが、楽しく一気に読み終えました。
予習なしで読みました。 ★★★☆☆
オリジナルは読んでませんが映画の「プライドと偏見」は観ました。観たんですがまったく話に入り込めずストーリーがサッパリわかりませんでした。アン・リー監督の「ある晴れた日に」もまったく話に入り込めなかったので、イギリスの貴族モノは自分には合わないのかなと諦めてましたが、この本のあまりにものアホなタイトルに釣られてついつい衝動買いしてしまいました。といってもこの本のことは映画化されるというニュースを聞いてたので知ってましたが。

う〜ん、やっぱり恋愛模様とお家戦争のいざこざにはイマイチ入り込めなかった。気がついたらネットであらすじを参照しながら読んでました。ただ、ゾンビが急に出てきたりするところでは脱力系の笑いが。ウマヘタ(ヘタウマではなく)な挿絵もGOOD。ゾンビだけでなくヒロインがやたら凶暴なのも面白かった。主人公たちの恋愛にもうちょっとゾンビが絡んできたらよかったかも。互いにツンツンしてた二人がゾンビを殺しまくってるうちにムラムラきて猛烈な愛に発展とか・・・。

ストーリーはある程度わかったので、もういちど「プライドと偏見」が観たくなった。そしてオリジナルも今後ヒマがあれば読んでみようと思った。あとこの作品の映画化も楽しみにしてます。アホアホカルトムービーの傑作になることを期待して・・・。
実は少女マンガっぽい ★★★★☆
ジェイン・オースティンによるオリジナルは何度か映像化もされている人気作品だそう。
人気の理由の一つがヒロインの相手役、ミスター・ダーシーで、容姿も家柄も財産も恵まれている上に性格は今風に言うと「ツンデレ」。女性は時代を問わずこんな男性に弱いんだろうなあ。
実は8割がオリジナル通りだそうだが、これが少女マンガ的というか昼メロ的というか続きが気になるストーリー。そんな風にもともと面白い話にその上「ゾンビ」。オリジナルの世界を保ったまま、自然にゾンビが登場するミスマッチがなぜかいい味付けに。編集者の単なる思いつきが発端だそうだが、この組み合わせはアイディアの勝利か。
予習が大前提 ★★★★☆
見ての通り、完全な出オチのパロディ小説。

思ってた以上にオリジナルの形を保っていて(十分アレだけど)、ストーリーも文章もそのまんま。所々ゾンビやら少林拳に差し替えられてて、全体よりもそのマイナーチェンジぶりを楽しむ小説。だから、未読なら『高慢と偏見』を読んでおくことをオススメ。生まれて初めて、予習の素晴らしさを実感しましたよ(笑)
まず、登場人物紹介から、見覚えのない名前が一名。その後は、死の五芒星、鶴の構え、ニンジャ、纏足、ナレズシ、と変な東洋趣味が炸裂。

キャラクター造形は基本的に変わってないんだけど、エリザベスだけは、頭の回転が速いわけではなく、バーサーカーというか、完全にバーバリアン(笑)あと、ジェインと別れさせようとした理由は、こっちの方が理解しやすいかも。
激しい改変を期待しているとホントに肩すかしなんだけど、シャーロットはカワイソすぎ。一方、ウィカムの扱いは笑える。これは、彼は痛い目に遭うべきだ、という読書会の長い歴史の共通認識? レディ・キャサリンは予想通り、『キル・ビル』です。

個人的に一番ウケたのは、巻末にちゃんと読書の手引きがついてること。これは、ジェイン・オースティンの読書会(とゾンビ)を開くべきでないの?

オリジナルとセットでオススメ。
HIP HOPでゾンビと踊れ ★★★★★
これは広く認められた真理であるが、ゾンビに魅せられた人間は、さらに多くのゾンビ作品を求めずにいられないものである。この真理を生々しく見せつけられたのは、先ごろTwitterが本作品をくわえたゾンビに襲撃されたときだった。これに呼応し、生ける屍の大群が本作品を食い尽そうと大量発生している。

さて、本作品を食らった生ける屍たちはどのような評価を下すのであろうか? まず、訳者はあとがきで戸惑っている。ゾンビに、ではない。著者の片割れ、セス・グレアム=スミスについて「この作品を彼が『書いた』と言えるかと言われると、正直微妙だと思わざるをえない」と違和感(あるいは異物感)を表明している。しかし、この戸惑わせる要素こそ、本作品の奇天烈な魅力にほかならないのだ。

この作品はジェイン・オースティンの古典名作『高慢と偏見』と、ゾンビホラーのマッシュアップ小説だと説明されている。マッシュアップとは、私の理解では音楽および動画で見られる手法で、ある曲のオケとある曲のボーカルを(なるべくそのまま)シンクロさせて組み合わせるような作品を指す。たとえばRHYMESTER「ザ・グレート・アマチュアリズム」とモーニング娘。「恋愛レボリューション21」のマッシュアップ音源は、その予想外のシンクロぶりに一部の好事家たちが狂喜乱舞した。本作品の著者クレジットが共著になっているのはそのためで、これは『高慢と偏見』を下敷きにしたゾンビホラー作品ではなく、ある程度の省略と補正をのぞけばそっくりそのまま『高慢と偏見』が流用されている。つまり、ジェイン・オースティンが描いた物語のなかにゾンビが湧いてくるのである。

だが、私は本作品をマッシュアップ小説として読まなかった。マッシュアップなら、『高慢と偏見』と対をなすゾンビ「作品」を組み合わせなければならない。それこそ『ゾンビ』でもいいし、いまちょっと調べてみたら評判のよかった『Dawn of the Dead』でもいい。ようするにシンクロさせて成立すれば何でもいいのだが、とにかく作品と作品を組み合わせるのがマッシュアップだと思う。

かといって、いわゆるパロディとも異質な側面がある。では本作品は何かというと、HIP HOPだと思うのだ。マッシュアップもHIP HOPから派生した手法だが、この小説はもっとベーシックなHIP HOP音楽と同じ構造をもっている。

『高慢と偏見』を全編サンプリングし、ベーストラックの土台をつくる。そこに類型的なゾンビ描写、つまり定番ブレイクをのせる。ライヴではここで盛り上がるだろう。コールアンドレスポンスのいいタイミングかもしれない。こうしてクラシック作品のビートが生まれ変わってゆく。ステレオタイプな東洋ネタもオカズとして重要だ。少林寺拳法、座頭市の仕込み杖、忍者など、厳密さは無視してブチ込む。ビートが要求しているのだから、考証なんてクソくらえ。わかる奴を踊らせればいいのだ。でも、やっぱりオリジナリティもほしいから、カリフラワーっていう新機材も投入してみるか。これはまだ誰も使ってないでしょ? …こう考えていくと、もうHIP HOPとしか思えない。少なくとも私は。

本作品をゾンビホラーとして読むと、ものたりなく感じる人がいるかもしれない。そもそも、『高慢と偏見』を未読の人がどう感じるか、私にはまったくわからない。それでも、『高慢と偏見』を読んでおり、なおかつHIP HOPとして読めば、腹を抱えてガン上がりできると思う。いや、HIP HOPとして読まずとも、1行目の破壊力には誰しも腹筋崩壊してのたうちまわるはずだ。このイントロ、すげーわ。