教室内のいとなみを微細に描き出した好著。
★★★★★
本書は、協働学習に取り組んだ著者の授業の1年間の展開を、著者自らが記したものである。
著者の落ち着いた筆致が、教室の中のつぶやき、憂鬱な空気、語り合いの喜びなどを微細に描き出している。自分で授業をしながらこれだけの観察を行いうることに驚愕した。
教育関係の実践書の多くは、「ほら、私の授業こんなにすごいでしょ。あんたも今すぐやりなさいよ。」などと言わんばかりの押しつけがましい自画自賛で紙数を埋めている。本書は、そういった駄作とは一線を画した、文学作品に匹敵する程の質を持つ授業記録である。