ヘイズ/HAZE-Original Long Version [DVD]
価格: ¥3,990
これまでフィルム撮影にこだわってきた塚本晋也監督が、2005年に公開されたオムニバス映画『Female/玉虫』に続いて、撮影・編集・上映までのプロセスをすべてデジタルで行った、一種の実験作。
コンクリートの密室に閉じこめられた、塚本監督自身が演じる男が、その息苦しさと暗黒、脳を刺激する轟音、身体を拘束する不自由さに耐えながら出口を目指すといった内容は、すべて監督自身が苦痛を感じる地獄的なシチュエーションを再現したもので、それらを表現するために、小型のデジタル・ビデオカメラを使用。人間を極限的に狭い空間に追いつめながらも、カメラそのものは自由に動き、その地獄模様をリアルに切りとっている。
デジタルで撮影する長所として、事後処理=ポストプロダクションの簡易化が上げられるが、本作でも重要な要素となる“闇”の再現性に塚本監督はこだわり、完全なる漆黒、やや白みの残る闇など、数種類の黒色をシーンによって使い分けており、それぞれのカットで微妙に違う黒の締まり方が、独自の演出から得た成果をさらに強調している。強烈な刺激と恐怖に満ちた衝撃作。(斉藤守彦)