ここに見られるのは、個人個人の情報がすくいとられてしまうオーウェルの社会であろうか。 あるいは、安全で快適な便利な社会であろうか。
★★★★☆
本書は、我々の行動がいかにネットの中で記録されているのかを取材を通じて明らかにする試みである。
扱っているのは、労働の監視、購買行動、選挙、ブログ、テロリスト、病気の発見、恋愛のマッチングである。
当初は、われわれの行動を毎日のように監視し続ける空恐ろしい社会が描かれる。
それが、読み進むうちに、われわれの生活が豊かになるような世界に反転されてくるのがおもしろい。
ただ、ここで浮かび上がってくるいくつかの問題点も指摘している。
いくらコンピュータの性能が上がったとしても、完ぺきはない。判断して、行動するのは人間であり、人間の不条理な行動を見極めるのは、相当の困難を要する。
加えて、いかにプライバシーにも配慮するか。
ここに見られるのは、個人個人の情報がすくいとられてしまうオーウェルの社会であろうか。
あるいは、安全で快適な便利な社会であろうか。
そこは、読者の判断にゆだねられている。