だが彼らは屈しなかった。大いなる自然に知恵と勇気で立ち向かい、漂流地を豊かに作り変えてゆく。いつしかリーダーも復帰し、脱出へと野望を燃やす彼らだったが、この島には想像もつかない秘密があったのだ……。
立ちふさがる問題を科学的根拠で次々と解決していくヴェルヌお得意の手法はもちろん、物語の冒頭から最後までを覆い尽くす巨大な「謎」の魅力はページをめくるのがもどかしくなるほど。上下巻、あわせてお楽しみください。
また一方で、「海底二万里」と同じように、語られている植物・動物・鉱物などに関する広範かつ詳細な知識も魅力の一つとなり、想像力をかきたて、まるで太平洋上の島にいるかのように感じさせてくれます。
ただ、冒険にあこがれる人なら理屈抜きに楽しめる作品ですし、様々な読み方が出来るのもジュール・ベルヌの作品の良い所だと思います。何回読んでも初めに読んだときの驚きや新鮮さを失わないジュール・ベルヌらしさにあふれた作品です。