初めて山藍紫姫子さんの作品を手に取りました。

今まで、お耽美系なものを書かれる印象が強くて私の守備範囲外かも…と思っていたのですがなんとなく新境地に足を踏み入れなくなり、今回こちらの作品を読んでみました。

いやあ、面白いですね!
作中になんとなく醸し出されるこの作家さま独特の雰囲気はなんなんでしょう。

あらすじ、設定だけなら有りがちですが、そう思わせないで最後まで一気に読ませる魅力がありました。
この巻を読んでいる間に、以降の続編すべて買ってしまいました。

桜庭とその息子の使徒たちのぎこちない親子間のやりとりに萌えました。
対する鷹司とその使徒のドールの態度には掴み所がなくてハラハラさせられます。

きちんと各登場人物のキャラがたっていて読みやすかったです。

え〜ここで終わり?という感じのラストですので続編と合わせて読まれると良いかもしれません。

近未来の話で日本が舞台です。
同害報復を執行する為に主人公の義父が創設した「タリオ」という名の組織。
そのタリオでは義父が創設した事もあって主人公、桜庭那臣（さくらばなおみ）は幹部のうちの一人。桜庭は二人の使徒、龍星とルキヤを擁しながら、タリオの「物件」と呼ばれる「他人の復習」を処理する日々。ある理由から桜庭は危険な物件を選択し、龍星とルキヤに執行させるが、失敗に終わる。その失敗を同じタリオの幹部、鷹司貴誉彦（たかつかさきよひこ）にフォローしてもらい、タリオ本部への口止めを頼むが・・・。

最初の方、読み始めてから「あれ、違う世界の扉、開けたかな？」と少し不安にかられました。今までのBLとは違う雰囲気があちこちに感じられたから。
桜庭、鷹司、龍星、ルキヤ、ドール、皆それぞれ個性的で独特の関係があり、文章も個性ある言い回しだったり。最初はついていけるかなーなんて思いましたが、読み進むうちにタリオに関連する話の面白さや、個性や影のあるキャラ、独特の人間関係にもどんどんひきこまれていきました。最後は「あれ、これで終わり？これからなのに！」って感じでしたが、続きとして「オム・ファタール　運命の男」がでています。シリーズでその次もでているのでオススメです。
ただ、複数の関係や道具関係、複雑な愛が苦手な人はオススメ出来ません。
私自身は複雑な愛が苦手ですが、最後まで読んで、根底にある愛に納得できました。
シリーズ本を読み進めていく内に愛の深さがよりよくわかっていきます。
イラストは個性ある絵なので、最初は馴染みにくいかもしれませんが、これも読み進めていくうちに、馴染みます、そして納得します。この話にはこのイラストだな、と。（笑）

本作は以前、新書として発行されていた物の文庫版です。

主人公は「タリオ」という組織の幹部である桜庭と、同じく幹部でNo.2の鷹司がメインになります。
時代設定は、現代より少し先の未来の日本。
「タリオ」とは、罪を犯した人物を、遺族からの依頼で「目には目を、歯には歯を」のハムラビ法典に則った方法で
暗殺を請け負う組織です（レイプの上で絞殺した場合には、それとまったく同じ方法で……という具合に）。
幹部は「使徒」と呼ばれる暗殺者を暗殺者養成所から買い取り、「物件（暗殺対象者）」を「処理」します。
七年前、組織の代表のもとで初めて出会った時から桜庭に執着していた鷹司は、
ある物件の処理に失敗した桜庭の手助けをする代わりに、口封じの手段として桜庭の身体を要求し……。

と、あらすじだけを書けば、よくある「愛人契約」的なシチュエーションで、ありがち、と
思ってしまうかもしれませんが、桜庭の凄惨な過去や、それを吐かせるために拷問に近い責め苦を与えてでも
彼を我が物にしようとする鷹司には頭が下がるくらいです。
おまけに鷹司の「使徒」であるドールを交えての3Pや、桜庭の「使徒」である龍星とルキアの情交。
全体を通してエロシーンが散りばめられているのですが、シーン展開や変化して行く桜庭の心理状態が
上手く盛り込まれているので、飽きを感じさせない流れになっていると思います。

見所は鷹司の異常なまでの桜庭に対する執着でしょうか。
普段は紳士然としていて、男前でお金持ちで文句のつけどころもないようなイイ男ですが、
捩じれまくった愛情をぶつけられる桜庭は大変な目に遭っています。

3Pや痛めつけるようなエロシーン、殺害シーンが大丈夫な方であれば、問題なく読めると思います。
ちなみに、最後には丸く収まっていますので、アンハッピーエンドではありません。
続編に「オム・ファタール　運命の男」が、ありますので、合わせて読まれることをオススメします。

山藍紫姫子先生のお話は本当に耽美で、かつ隠微度はかなり高く、
主人公の受が攻と結ばれるまでに、
必ずといっていいほど別の人間の陵辱を受ける…というシチュエーションが入ります。
最近は特に、未熟だが真摯な愛情を注ぐ若者と、
手管に優れ、強引すぎる行為が強すぎて嫌われてしまうような年長者に
同時に愛される受、という設定が多いように思われます。
設定が大きい割に、少し動きが乏しいような気もしますが、
BLですからそこはあまりこだわらずに。
濃厚な愛の物語を求める方にはオススメです。
挿絵も最近の本の中では内容とよくあっています。

暗殺を請け負ったり、組織のボスから溺愛されていたり。その美貌ゆえに。
神父服に身を包んだ美貌の受け、という設定が面白い。

暗殺シーンなどはそこまで気にならない程度の描写なのでスラスラと読めました。
目に入れても痛くないほど組織のボスから溺愛されていたり、強引に受けを奪おうとする攻めも頼もしいです。

アダルトなお話が好きな人にはお勧めです。