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イラク

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 河出書房新社
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タイトルは ★★☆☆☆
タイトルは『イラク』となっていますが中東情勢というより戦争に加託したユートピアについて語ったものです。現実にはイラクが何かを生み出すというより大国に翻弄されるだけの結果になった訳です。紛争におけるテロリズムこそに社会主義を志向するという方法論は九一一以前に上野俊哉氏が既に行っていたということもあり多少後だしの感は否めません。
大文字の<行為>、あるいは「ユートピア」への呼びかけ ★★★★★
イラク戦争、そして「テロとの戦争」---。はるかに悪化し続ける状況の中で、ジジェクは、先立つ著書、「テロルと戦争(<現実界>の砂漠へようこそ!)」の最後の数頁を書き継いだかのようだ。しかし、もちろんそれだけではない。本書においては、その地点からさらに先にいっている。というより、そこにおいて示されていた立場がさらに純化され、大文字の<行為>に賭けるジジェクの真摯さがほとんどすべての頁で際立っている。カントの定言命令は、結局のところ、「行為せよ!」という絶対的な命令に帰着するが、ジジェクは本書で、あるいはこの袋小路的状況の直中で、この定言命令「行為せよ!」を継承しようとする。
このことを理解するために、次の一節が参照できる。

「「せねばならない」と「すべき」は、こうして、リアルなものとシンボリックなものとしてお互いに関係する。欲動(drive)というリアルなものの命令を、逃れることはできない(だから、ラカンは欲動のステータスは倫理的なものだと言った)。シンボリックな理想としての「すべき」は、欲望の弁証法に絡め取られる(何かをすべきでないとするならば、この禁止そのものがそれをしたいという欲望を発生させる)。何かを「せねばならない」とき、それが意味するのは、いかにそれがおそろしかろうと、それを行う以外に選択の余地はないということだ」(p.164.)

さらに、本書のポイントは、この大文字の<行為>が、これまでにもまして「ユートピア」のヴィジョンへと架橋されていることである。以下が、本書最後の言葉である。

「薔薇の崇高さを日常生活の低俗さという試練のなかで認識すること(---)こうしたスタンスの政治的教訓(あるいはむしろその含意)は、既存の現実を神秘化したり、偽りの色彩で塗りあげることではなく、まさしくその反対のことなのだ。すなわち、崇高な(ユートピア的)ヴィジョンを日常の実践へとーーひと言で言えば、実践的ユートピアへとーー翻訳する力を奮い起こすことである」(p.232.)。