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鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 平凡社
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稀有な学術的記録 ★★★★★
この瞳目すべき科学的かつ魅力的な報告な対し、嘘とかネタとか、勘違いに基づくあまりに失礼なレビューが多いのに愕然とした。これは心底真面目な科学者による学術書である。
なお引用文献にあがっている中でピルトダウン大学出版部の所在地が不明であった。ご存じの方はご教示ください。
生物の進化論を根本から覆す ★★★★★
鼻行類の発見は、生物の進化の理論を根本から覆す大発見である。
ダーウィンが、ガラパゴス島の動植物にであって以来の、
驚天動地の出来事である。

これに対し国連生物多様性科学会は、会長声明を発表、鼻行類の保護のため
捕獲及び、生息域の発表など一切の禁止を決議するよう国連総会議長に求めている。
新しいほ乳類は驚きの連続 ★★★★★
 動植物の新種発見のニュースはしばしば耳にしますが、ほ乳類分類学上の「目(モク)」の発見となると話しは変わってきます。「目」とは、たとえば「ネコ」と「イヌ」も、「ウシ」と「クジラ」でさえも同じ「目」に属する程大きな括りです。
 20世紀の中頃、新しい「目」としか言いようがないほ乳類が発見された事はあまり知られていません。しかもそれは、鼻を多様に進化させた、奇っ怪な生き物たちでした。

 本書は新しいほ乳類「鼻行目」に属する生物たちの生態を記録した貴重な資料です。紹介される生き物たちは想像を絶します。
 たとえば「ハナススリハナアルキ」は大きな鼻から川へ粘液を垂らし、水生生物をからめ取って補食します。大きな耳を持つ「ダンボハナアルキ」はバッタの足の様に変化した鼻で地面を蹴り上げ、20メートルほどまで飛翔します。「ナキハナムカデ」に至っては18対36本に分かれた鼻から別々の音を出すことが出来、飼育の結果バッハのフーガを演奏するまでの知能があることが示されています。

 1941年に鼻行類が発見され、1957年の本書の原著刊行まで、約16年間にこれ程多くの生態調査を行えたことは奇跡です。本書はこれらの知見を、生物学的に緻密な記述と繊細なイラストとによって解説しています。

 本書の最後に、鼻行類が生息する唯一の場所であるハイアイアイ群島は、多くの研究記録や偶然に居合わせた鼻行類研究者を伴い、近隣で行なわれた核実験の深刻な影響によって消滅してしまったことが明らかにされています。本書は鼻行類を幅広く紹介した唯一の研究書となってしまいました。なんという悲劇でしょう!

 本書の日本語版は1987年の刊行からしばらく入手困難な状態でした。この生物学最高の奇書が文庫として手に入れやすくなったことは大変喜ばしいことです。なお、読後には本書成立の背景を解説したシュテュンプケ氏の鼻行類―分析と試論もおすすめいたします。
鼻行類達が活動する姿を想像するだけで楽しくなってしまう ★★★★★
この記録・論文?を世に送り出した?シュタイナー氏によるあとがき(=オチ)には、「原稿がまさに印刷されようとしているときに、秘密裡に行なわれた核実験による地殻変動により、鼻行類が発見されたハイアイアイ群島は消滅してしまい、そこにあったハイアイアイ・ダーウィン研究所も運命をともにしてしまった(ので、調査記録や標本、写真はすでに存在しない=鼻行類に関する文献はこの論文だけ)」とある。

さらに、このライブリー版の解説では、この記録が発表された当時のヨーロッパの生物学者達の書評の一部を紹介しているが、その中には「見事に記載された事実が、真実に近いとは限らないことを考慮されよ」だとか、「鼻行類は、“謎”のハラルト・シュテュンプケ教授の心の中にしか実在しないのだ」といった文で結ばれたものがあったりする。

しかし、同時にこれらの書評は、解説者の言葉を借りれば「この記録(論文)そのものを事実としてうけとめ、動物学的にみて正しいか、矛盾があるかどうかをつきとめるという立場にたって加えられた論評」とのことだ。たぶん、学者達にとってこの記録は、真実かどうかを抜きにして学術的立場から論ずる内容を持つものだったということなのだろう。

きっとこの分野に専門的な知識がある方ならば、この作品の本当の価値が理解できるのだろうと思う。

しかし、だからといってわたしのような門外漢にとって楽しめなかったというと、全然そんなことはない。堅苦しい文章を読みながら、鼻行類達の姿を描いた挿絵をみて、彼らの活動する様子を想像する。それだけも楽しい時間を過ごすことができた。

この作品は奇書に分類されるのかもしれない。だけど、トンデモ本ではない。毎日欠かさず窓を拭くという完璧主義者のドイツ人魂爆発の一冊だ。
本当?嘘?疑心暗鬼になってしまう。しかし楽しい! ★★★★★
想像の生物・・・なはずですが、実在かもしれないとも思わせてしまいます。
まるで実物を本当に観察して書き上げたような細かい描写がそうさせるのでしょう。
実在しない生物の事で生物学者達が分類を論じたりするなんて驚きです。
最終的には現実的には何も役には立たない内容にも見えますが、
人間の想像力を超えた生物の可能性が隠されていることを教えてくれているような気がします。
単純な娯楽作品ではない奥が深い作品です。