ムーンライト
★★★★★
『竹取物語』です。言わずと知れた、あのかぐや姫の物語です。
『幼い時からかぐや姫の話として誰もが親しんでいるこの物語は、『源氏物語』の中でもすでに昔話として出てくるように、日本最古の物語文学といわれる。光を放つ一筋の竹の中から生まれて気高く成長した姫が、貴公子たちやみかどの求婚をしりぞけて天に昇っていく姿が、他の平安時代の物語に比べてはるかにわかりやすい、素朴な文章で綴られている。』
日本人と生まれたからには、学校で嫌々習う以外にも古典文学にちょっとくらい触れておいてもいいかと思いますが、『源氏物語』とか『平家物語』とかだったら岩波文庫でも何冊にもわたり長いし、細部の読解に自信を持てない。
そうくると、本作は本は薄いですし、話の内容は誰でもある程度知っていますし、日本最古の物語文学ということですので、史料としての価値はいわずもがな、読み応えもあろうかと思います。
かぐや姫という超美人ヒロインが登場して、やられ役の貴公子5人が出てきて、クライマックスのラスボスはみかどで、最後は壮大なSFオチ、ということで、実は物語として凄い洗練されているようにも思えるのですが、いかがなものでしょう。読んでいて、普通に面白いです。
貴公子だけではなく、みかどまでも振ってしまうのですから、色々と意味深長な解釈をする愉しみもあるのではないでしょうか。
古典だけど、読みやすく、それでいてしっかり読み応えがある。ということで評価は★5です。
筋書きとその背景がとても意味深な作品
★★★★★
「源氏物語」で「物語の来はじめの祖」と言われているという、現存する最古の物語文学。本文は正味50ページぐらいでしかないが、本文の下段には語釈が幾分ついていて、そのあとに補注と「今昔物語」「海道記」に収録の同内容の説話の付録もつき、校訂者の詳しい解説もついて、値段とボリュームからすると充実したつくりになっている。
昔少し触れたとはいえ全文を読むのははじめてで、話の構成は思ったよりしっかりついている上に、それぞれのエピソードは普通に読んでいて面白い。しかしながらその内容は意味深で、補注と解説でそれらの意味合いについて色々と説明してくれてもいるので、文庫全体として色々思わせてくれる。
古典文学としての味わい深さのほかに日本古代史の面でも、民俗学の面でも発見がある作品だということがわかる文庫だった。というか、古典文学自体がそういうものなのだろう。分量も少ないし、手軽に触れられる作品だと思う。
最古の物語文学
★★★★★
かぐや姫に求婚する五人の貴公子は、家具や姫から到底できない無理難題を出されて散々な目に合います。
その中の一人石上麻呂中納言はかぐや姫から出された課題の「ツバメの子安貝」をとろうとして何かをつかみますが、その拍子に吊り篭から落ちて腰をしたたかに打ちます。意識朦朧とする中で、つかんだ手のひらを開けてみたら、なんと!ツバメの古糞だった・・・・。
おもしろくて、少し悲し。あとは読んでみましょう。