ローマの入門書としては最適
★★★★★
ローマの統治制度のほぼ全てとローマ社会が網羅的に紹介されています。
紹介されている内容
ローマの政治制度 (皇帝と元老院と地方自治)
ローマの歴史 (王政から帝政まで)
ローマの人口 (最盛期の帝国全土の人口や5000万その変化の経緯)
ローマの軍事力 (どのように軍事制度が変化したか)
ローマの法
ローマの税
ローマの経済力 (GDPや政府支出のGDP比、その他産業技術や産業力など)
ローマの生活 (平均寿命や都市生活や文化)
これを読めば、ローマがどのような社会だったのか概ね分かるでしょう。
ただ気になったことが二つあります。
一つは、歴史を善悪で見ようとしていること、例えば、ローマに侵略する気があったかどうかなどを長々と論じていますが、強い国が弱い国を侵略するのは歴史のサガなのだから、あまり意味のない話だと思います。その他、当時の慣習や文化をあまりにも今の価値観で語りすぎている気がしてちょっと目障りでした。
二つめは、ローマの網羅性についてです。
政治・法・税などのカテゴリごとの分類は分かりやすかったのですが、ローマの長い歴史の中で様々に変化している変化の経緯が掴みづらかったです。
この本でもそれなりに記述されているのですが、時間経過に対する網羅性という点では不満が残ります。
政治や税や法や軍事や他国の状況を時間軸で表などで整理してくれたら、何故ローマは拡大し、何故ローマの繁栄は維持され、何故ローマは滅んだのか、掴みやすいと思うわけです。