今日では、世界のどこかで起こった出来事は、みな世界各地に伝えられ広められるが、世界最初の通信網(海底ケーブルによる)は、イギリス人によって、その会社と資本とによって導入されたものである。
今日では、グローバリゼーション(地球化)は耳慣れた言葉になってしまったが、地球各地の文化や社会がよくもわるくも結び付けられたのは、まずイギリスが世界中に広げた植民地と、その間を結ぶ支配と資本、交流と物流のネットワークとによってであった。イギリスの天下(パックス・ブリタニカ)は、イギリス本国の豪奢な生活を支える輸入超過による巨大な貿易赤字と、新興国ドイツ、アメリカの第3世界、とくにインドに対する貿易赤字、そしてそれらを清算するためにインドを中心に行われる資本のやり取りによって支えられてきた。
その国の歴史が、そのまま世界史となる近世近代イギリスを、世界を結び付けた帝国化とその解体によって描いた新しいイギリス史である。