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トルーマン・レター (集英社文庫)

価格: ¥800
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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国際謀略小説としてはそれなりに楽しめる ★★★☆☆
元新聞記者の主人公が、第33代アメリカ合衆国大統領
ハリー・トルーマンの書いたと思われる手紙を偶然手に
入れる所から物語は始まる。手紙の内容は第二次世界
大戦でアメリカが日本に対し原爆投下を決意する真相に
迫る物である。

公式には、原爆投下の目的は地上戦によるアメリカ軍の
損失を最小限に止める為、となっている。しかし、トルー
マンの手紙の内容は人種的偏見に満ちた物であった。
この手紙の真贋を確かめ、いかにして公開するか検討し
ていた主人公と、彼の昔の恋人である大学准教授が、
やがて事件に巻き込まれる。

アメリカ大統領について少し調べてみると、初期から二十
世紀初頭にかけては、人種差別主義者が少なからずいた
ようだ。さすがに最近ではアフリカ系アメリカ人の国務長官
や大統領が登場しているように、あからさまな人種差別を
唱える人物はいないようだが。

ちなみに史実では、日本への原爆投下決定はポツダム
宣言発表前の7月25日となっている。

やや重い文体で、読むのは少し骨がおれた。最初から怪し
い人物は一人しかいないのに、やたらと物語を複雑にして
いるような印象もあった。まあ、国際謀略小説としてはそれ
なりに楽しめる作品ではあるのだが。
スリリングなサスペンス ★★★☆☆
 物語は元新聞記者の峰先が、かつての合衆国大統領トルーマンの私信の手紙を偶然手に入れてしまうところから始まり、その手紙には、原爆投下の隠された真実が綴られていた。その峰先はかつての恋人と共に、諜報戦の渦中へと巻き込まれていくサスペンスとなっています。

 展開としては、原爆投下の真相をトルーマン大統領の手紙とし、その手紙を巡って登場人物が巻き込まれる姿が面白く描かれており、確かに謎にスポットを当てて、サスペンスとしてもスリリングに描かれているのは評価できると思います。ただ、これまでの高嶋作品は個人的に大いに評価しているだけに、本書ももう少し迫力ある展開に持ち込んでほしかったという不満も少々感じましたが、最後のエピローグで物語がしっかりとまとめられており、読みごたえある作品でした。