ノンフィクション小説として読んでも面白い傑作
★★★★★
読みやすさ、身に付く知識の量、そして面白さと三拍子揃っており、大傑作と思います。
ドレークといえば、無敵艦隊を打ち破った重要人物の一人ですが、その若年時代からを過不足追っており、その当時の知識があまり無くておも読める無いようになっています。詳しすぎても煩いだけであり、また省略しすぎていても背景がわかりませんが、著者の設定している読者像が適切なのではないかと思います。
また、前半は私掠船団を率いて、イングランドが当時敵対していたスペインの持つ新大陸方面へ出撃するのですが、海戦あり上陸戦あり、宝をめぐっての冒険行ありと、バラエティーに富んでいます。そしてスペインの警備が厳しくなるや太平洋を横断して世界一周をして帰ってきて、出資者のエリザベス女王に莫大な利益を与え、スペインの引渡し圧力にも関わらず騎士叙勲が行われる下りまで、見事としか言いようが有りません。そして無敵艦隊を迎撃する一翼を担い、実質的に勝利の立役者になるという、国家戦争の規模になっても、当時の状況の過不足ない説明と実際の艦隊レベルの戦術の描写の面白さもあり、ドレークだけでなく、ドレークの時代そのものがドレークの生涯を追うことによって自然に理解できる内容になっています。
是非、一読して欲しい一冊だと思います。