全英オープンテニス(ウインブルドン)を最後に引退しようと考えていた落ち目のテニス選手ピーターは、ホテルの部屋を間違えたことをきっかけに女子の優勝候補リジーと出会う。気があったふたりは接近していき、彼女の応援でピーターは勝ち上がっていく。リジーは勝利の女神。しかし、ピーターに恋した彼女は、反対に心乱され、肝心のテニスが疎かになってしまう…。
ヒロインが有名で相手役が無名という関係、男性のまわりのユニークな家族、友人たちなど、構成がどこか『ノッティングヒルの恋人』を思わせるも、舞台はテニスのトーナメント。選手のジンクス、記者会見、エキサイティングなゲームなどテニス界のエピソードとラブストーリーが絶妙のバランスで描き出され、さわやかでコミカルな作品に。
主演のポール・ペダニー、キルスティン・ダンストともにテニスプレイヤーにピッタリで、ふたりの好演がこのフィクションをリアルに映し出している。また試合の解説者に往年の名選手クリス・エバート・ロイド、ジョン・マッケンローが顔を見せているのもテニスファンにはうれしい。(斎藤 香)
単純明快なスポーツ・ラブコメ
★★★☆☆
テニスを通じてであった男女が恋に落ち、ケンカをし、仲直りする。至ってシンプルな王道ラブコメディ。
また、スポーツを扱った映画の常であるように、それなりに楽しめるし、それなりに感動する。
シンプルであるからこそ演者も引き立っており、心を空っぽにしてみることができる。
最初から最後までほとんどヒネリが無いストーリーなので、それが嫌いな人には合わないかも。
ハッピーになりたいなのなら
★★★★☆
この映画を観ると、テニスをしたくなります。…とはいえ、私の場合はゲームですが。
ストーリーは少々出来すぎな部分も(ちとズルイのでは?という部分も)ありますが、許せます。
だって面白いんだもん。
テニスシーンは結構見ごたえがありますし。
ハラハラ・ドキドキ・ウキウキ・ワクワクできます。
ハッピーな気分になりたい方にお勧めします。
恋愛モードにしてもポール・ベタニーがハンサムすぎない(むしろ、ちと情けない)のが好感度を上げていると思います。
ちなみに私のお気に入りはお父さん役のサム・ニール。可愛くてオチャメで好きです。
勝利のわがまま女神さま
★★☆☆☆
キルステン・ダンストン以外は、すべてクイーンズイングリッシュをしゃべる英国色の強いスポコン・ラブストーリー。ガタイのでかいポール・ベタニーはともかく、あんなに華奢な体のキルステン“ブスカワ”ダンストンまでプロ・テニスプレーヤーとして登場させてしまったキャスティングはいかがなものか。プレーヤーの動きに合わせて後からボールだけをCGで合成させたような映像がぎごちなく、その辺が影響してるせいか恋人同士(素人同士)のテニスシーンはなぜか本作品には登場しない。
ウィンブルドン大会の真最中にホテルを抜け出して密会を重ねるピーター(ポール・ベタニー)とリジー・ブラッドベリー(キルステン・ダンストン)。徹夜で繰り広げられた恋のラリーの後でもポールはトーナメントにしっかり勝ち上がっていく。トップ・プレーヤーの中にはダブルスとシングルスの両方にエントリーする選手がいるが、プロテニス選手の体力やおそるべしというシモネタを活用すれば、もう少し笑いでアドバンテージがとれたかもしれない作品だ。
偶然の出会い→すれ違い→破局→大団円というロマコメの王道をいくストーリーも、すれ違いから破局にいたる原因が、リジーを束縛しようとする父親(サム・ニール)の存在だけでは弱すぎるし、なえそうになるベテランを奮い立たせる?わがままリジーが、(体力泥棒には見えても)勝利の女神にはとても見えないのだ。この手のスポコンは、どちらかというと邦画が勝っている気がするのだがどうだろう。
テニスファンには面白いかな
★★★☆☆
ヒネリ一切なし。ドンデン返し一切なし。みんな良い人で毒気もなく、全てが予想通りに展開します。ユーモアの出し方も予想通り。イギリス映画たる片鱗は主人公とその家族がイギリス英語を喋っているとゆーくらいで、これがアメリカ映画でも全く違和感がない。イギリスのロマコメも断末魔か。
『フォー・ウェディング』『ノッティングヒルの恋人』を制作したスタッフだそうですが、「イギリスの内気オトコがアメリカ女性の出現で変わる」とゆー共通項が何気に興味深い。ここらへんのファンタジーは日本人のオンナの私にはよく分からないところですが、しかし待て、本作の「アメリカ娘」はウィンブルドン初出場の若手スターというのだからまだ十代だろう。燃える闘魂でツアー転戦中の十代ギャルがテニス人生黄昏時の三十男と安定した恋愛関係を保てるのか?引退してライジングスター娘のヒッティングパートナーにでもなるのかな?、等々、見終わって余計な心配をしてしまひました。
テニスファンなので手に取ってみたのですが、無名選手がウィンブルドンで優勝するというのはまず不可能だろう、という野暮は言わないでおいて、試合場面はギリギリ誤魔化して見れるか見れないか、危ういところです。身体が躍動してないんですよね。なんとなくラケットが木製だった時代の女子テニスを見ているような感じ。ヒロインの方のプレー姿は全くダメ。
総じて、絵的に夏の風と緑が爽快な映画です。ウィンブルドンの解説でお馴染みのマッケンローやクリス・エバートが登場し、本物の選手ラウンジや控え室が拝めるのがちょっと嬉しいです。