ジプシーパンクを掲げる期待のバンドの新作
★★★★☆
趣味やセンスはどストライクなんですが、
これまでのアルバム同様ビートが「ズッチーズッチー」ばかりで
ちょっと飽きてしまいます。(ライヴではノりやすくていいでしょうが)
今回は前作に引き続きコーカサス風にも挑戦はしているもの
まだワンパターンに感じます。
ヴォーカルのユージン・ハッツは「ワンダーラスト」や「僕の大事なコレクション」
の映画出演からでも魅力やセンスの良さが伝わっていいので、
様々な曲調に挑戦して進化していってほしいと思いました。
いまどき
★★★★★
この陽性のエネルギー!
パワフルだなぁ 良いなぁ
筋肉っぽいんだけどもさ、やっぱり、知性は国境を越えなくても、
四肢は国境を越える、肉体は国境を越える
音楽は、身体についての話
あらゆる情報がグローバリズムで世界のどこかの悲劇を世界中が共感して
暗くなって行くばかりだけれども、
そうじゃあないでしょう、と
この非国境的な音楽こそがローカリズム的な陽性をもってて、
国境のある音楽がグローバリズムを気取って陰性なのは、
皮肉なものですね
雑草のシブとさに溢れた無国籍ロック
★★★★★
90年代初頭にフレンチ系のジプシー・ロックが日本で流行ったことがある。その頃にマノ・ネグラやレ・ネグレス・ヴェルトに親しんだ向きにはお馴染みの音だろう。(実際、ユージンとマヌー・チャオは親しい。)このバンド特有の新しい面白さがあるとしたら、N.Y.で非北米系の雑多な国籍のミュージシャン達が集いスラヴ系ジプシー・パンクを奏でるようになったという、行き当たりばったりかつ必然的なところにあるだろう。N.Y.の空き地で色んな花の受粉が重なって、いつの間にか凄くタフで見たことない雑草が育っちゃったような、そういう天然素材バンドだ。マドンナとリック・ルービンが絡んでるだけにバカ売れすると思うが、ガキ向けマーケティングによる停滞が著しいポップ・チャートをこういう大人の音が賑わすというのは、愉快かつ痛快なことだ。
正直、こういうセンスのバンドは北米市場からは絶対に出てこないと舐めていたが、ルックス、バンドのストーリー、音、どれもがブレることなく地に足着いたボヘミアン・ロックに結晶しているのが素晴らしい。一瞬バカ売れした後にすぐ使い捨てられる「アーティスト」だらけの現在、どんなに注目を惹かなくなっても10年後も確実に旅をしながら歌ってそうなシブとさが感じられる「歌い手」の匂いがプンプンする。「歌を歌う」ことが生きることにマッチして全くブレていないというか。何が凄いって、これからもプロデュース次第で色んな料理が出来そうな可能性に溢れた音なんだよね。
歌えて踊れて泣けるアルバム
★★★★★
Gogol Bordelloは今最高のライブバンドと言っても過言ではないと思う。
このアルバムはものすごくいい出来だ。
ありがちな言い方をすれば、完成度が上がっていて、昔の荒削りの感じ、変な風な歌い回しをしたり違和感のあるメロディーラインがなくなって、聴きやすくなっている。ではそういうのがなくなっておとなしく物足りなくなったかというとそんなことは全くなくて、ビートはしっかり刻むし、メロディーやバイオリン、アコーディオンの旋律は秀逸だし、歌詞は相変わらずだし、ユージンの声は変だ。
しかも、大事なことは気合が今まで以上に入っているのではないかと感じさせることだ。どんどんシリアスに音楽に向かってきている気が、する。聴いてて泣きそうになる曲がいくつもある。素晴らしい。
でもライブに行ったらとりあえずナナナナーとかヘイヘイホウとか言って乗れる曲も多い(本当にそう言ってる)。やはりライブバンドなのだ、という点も再認識して安心。歌って踊って泣けるアルバム。