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ラウタヴァーラ:イコンの前に/生のタペストリー

価格: ¥1,728
カテゴリ: CD
ブランド: Ondine
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Helsinki Philharmonic Orchestra - Leif Segerstam, direction
ラウタヴァーラの今の活動を伝えてくれるアルバム ★★★★★
現代フィンランドを代表する作曲家エイノユハニ・ラウタヴァーラ(Einojuhani Rautavaara 1928 - )の作品を精力的にリリースしているセーゲルスタムとオンディーヌ・レーベル。このたびは管弦楽曲「イコンの前に」と「生のタペストリー」が収録された。セーゲルスタム指揮ヘルシンキフィルの演奏で2006年と2009年の録音。

私がラウタヴァーラの音楽を始めて聴いたのはアシュケナージの弾き振りによるピアノ協奏曲第3番「夢の贈り物」である。親友アシュケナージのために作曲されたその曲はなんとも美しい透明な煌めきと、不思議な暖かさに満ちた魅力的な作品で、以来私もこの作曲家の作品を多く聴くようになった。作曲のスタンスは基本的には一定していて、現代音楽とはいっても細かい理論的なメカニズムに凝るのではなく、その第一の印象として「簡明」であることが心がけられていて、そのためはじめて聴いたときから、その美しさに触れる楽しみを味わうことができるものだ。だから、現代音楽を聴くという特別なスタンスを聴き手に要求することはなく、むしろシベリウス的な近づき易さを持っていると思う。

「イコンの前に」はラウタヴァーラ初期の作品である同名のピアノ曲集を編曲したもの。イコンというのは、聖使徒ルカがマリヤを描いたものとされているが、キリスト教の聖像全般を指すこともある。原曲は6つの小曲(神の母の死、村のふたり聖人、ブラケルナヤの黒いマドンナ、キリストの洗礼、聖墓の聖なる婦人、反キリストと戦う天使長ミカエル)からなっていたが、管弦楽化にあたって2曲(祈り、アーメン)が追加された。原曲のピアノ版はラヴェルを思わせる瀟洒な感じが印象的であったが、管弦楽盤ではスケールが増し、雄弁な音楽となった。もちろん作曲者の書法が練達したこともあるだろう。冒頭曲のニュアンスは深まり、谷を思わせる相貌を見せながら、不思議な中和性を感じる。中間部は、安寧な雰囲気と運動性の交錯する楽曲が多く、スケルツォ的要素とアダージョ的要素の交錯が楽しい。終楽章に加えられた「アーメン」が短いながら気宇の大きな音楽で、力強い響きが圧巻だ。

「生のタペストリー」は大病を克服した作曲家の心情を募った作品とのことで、ベートーヴェンで言えば弦楽四重奏曲第15番に相当する。4つの部分(星が集合する、穏やかな日々、ため息と涙、最後のポロネーズ)からなり、やはり古典的和声を踏まえたラウタヴァーラの簡明な作風がよく表れている。