ずっとこのDシリーズのファンです。
この中編集はそれぞれがコンパクトで、
いつもの長編（特に2巻以上になるものなど）に比べると
あっさりと言っていいほどすぐに結末を迎えます。
その分、個人的には物足りませんが（途中に出てくる人物が
魅力的なので）、まあ、これもアリかなと思います。
全体的には、いつも通りというか、それなりに突っ込みどころがありました。
でもこの三篇で垣間見えるDのやさしさと温もりだけで、大変満足できました。

　夏、秋、冬の三編からなる短編集。
菊地氏の他の作品とは違いこのバンパイアハンターDは文体が事情的で好きです。特にこの短編集は四季の情景の表現が独特で美しいハンターの四季折々の表情が浮かんできます。貴族でもなく人間としても生きられない孤独な孤高のハンター。彼は彫刻のように美しく無表情で彼に関わる人間たちをとうしてDの内面が表現される。
感嘆です。