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「いい会社」とは何か (講談社現代新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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説得力のある方法とその結論。特に、論理に飛躍がないのがいい。 ★★★★☆
いい会社を論じて結論を出すのは難しい。この本の二人の著者は真摯に検討を重ねて1.時代に適応して変化できる 2.人を尊重し能力を生かす経営をおこなう 3.長期的な視点をもっている 4.社会における存在意義を意識し社会貢献もおこなっている をいい会社にポイントしてあげている。

いい会社について多方面の研究成果をとりいれつつ、インタビューで実際に経営者にも接触していろんな積み重ねを経て上記の結論に達したようである。会社に対する多様な考え方が存在する今の日本でこの本はまじめに会社を考える多くの人にとって格好の素材となるだろう。

思ったよりも骨太の内容 ★★★★★
ウエットな内容なのかと思ったが実際に読んでみると、会社と個人との関係と日本経済の成長と衰退との関係性を詳細に描いていることに驚いた。
様々なデータや豊富な事例を基に、イメージだけでとらえがちなことを、丁寧に検証をしており、思った以上に骨太である。
扇情的に企業の悪い部分や社会の悪い部分を切り出した本が多い中で、日本の会社の今後に一筋の光明が見出すことができ、不思議な爽快感を感じた。
企業も、個人も、そして国も破綻しないために ★★★★★
この本には、一冊の新書としては贅沢なくらい多くの情報が盛り込まれている。
「いい会社」とは何か? この問いかけは、本書を読み進めていくうちに、頭の中で、幸福な仕事とは?生き甲斐をもって働くとは?という問いかけにも変換されていく。

「第一章 個と組織の関係の変遷」では、5%成長を前提に簡単な会社モデルで課長到達年齢をシミュレーションする。これによると「課長になるのは三〇年後」、つまり22歳で入社すると課長になるのは55歳ということだ。シミュレーションとはいえ、これが現実だ。だからこそ、直視すべきだ。そもそも、若くして課長になることだけが幸せなのだろうか?ミドルたちの苦労を見ていると、どうもそうではなさそうだ。

本書は、マグレガーの「X理論、Y理論」等、有名な理論も網羅的に紹介している。通常の読者にとっての新しい発見もある。マズローの「Z理論」だ。これはあまり知られていないだろう。至高体験をしている人たちの人間観だ。高次の欲求で動機づけられ、たとえば、完全性、真、善、美等が主要な動機であり、謙虚さ、無知の意識、ちっぽけな自己、宇宙の巨大さを前にした畏怖の念を持っている(P.88)
こういった「心の豊かさ」を大切にする会社こそが、今後は発展していくのかもしれない。
「人の創意工夫」「心のこもったサービス」「おもてなしの心に火をつける」、言い方はいろいろある。


著者は、豊富な事例と知的な検証プロセスをさりげなく組み込みながら、「個と組織」の相互信頼の重要性と関係の再構築の必要性に気づかせてくれる。

日本でも米国でも「公正さ」は信頼のベースとなる。しかし、調査してみたところ、日本では「対人的公正さ」からは大きな影響を受けたが、「手続き的公正さ」はそれほど影響を受けなかったという。大切なのは、企業が「一人ひとりに向き合う」ことだ。
そして、「いい会社」は、自らの存在意義を自覚し、その意義に沿って経営を行い信頼のベースを形成している。
そういう会社が増えれば、個と組織の関係性は改善され、日本の明るい未来が期待できる。

最後の「第六章 二つの重い問題」では、「高齢化」と「雇用形態の多様化」について扱っている。
「社会全体の中で中高年層が増える中、働く場そのものが創出されない限り、退職を促しても働く場所がないとういう状況」(P.236)は今後も続くだろう。「人から大切にされたい」という根源的欲求を企業だけで満たすのは難しい。個人の意識の切り替えこそ大切なのではないか。

多様なキャリアがあってよい。高い給料をもらって何かに怯え不幸なままでいるには人生は短すぎる。給料は多少減っても、「内発的動機」と「人としての尊厳」をもって働きたいというという人たちも少なくないだろう。例えばシニア。自らの価値観にフィットした生き方を多様な選択肢の中から選択し、元気な姿を若い人たちに見せてはどうだろう。

そういえば、徒然草の第155段の中にこんなくだりがあったことを思い出す。「古い葉が落ちた後に新しい芽がでるのではない。新しい芽が出てくるので、その勢いにこらえきれずに古い葉が落ちるのだ」

シニアは、新しい芽の勢いの手助けをし、経験知はギフトとして次代につなげばよい。しかし、古い葉として散ることがフィナーレではない。落ちた地面に再び根をはやそう。企業はそのために多様なコースを準備できないだろうか。ギフトの循環が企業や国を支え進化させていく様子を想像してみるのも悪くない。歴史の担い手として、まだまだやるべき仕事がある。それは、自分の人生を豊かにする生き方にもつながるだろう。

この本を読んで、そんな思いに駆られた。
経営側立場での分析と考察かも ★★★☆☆
この本の著者が発するメッセージは経営者、もしくは経営側に近い方々へ向けての内容が多いようでした。

確かに「組織と個の信頼関係」がテーマではありますが、第2章以降、雇われる側から見た問題点や改善方法についてはほとんど触れられていません。それをテーマにしてしまうと、別の本になってしまうからでしょうが、どうも距離感を感じずにはいられませんでした。
そのあたりは太田肇さんの『「見せかけの勤勉」の正体』などがよい分析をされています。

そうは言っても「いい組織」、長寿企業」は他の組織とどう違うのかみたいなことが詳しく解説されていますので、その面では非常に参考になります。

おそらく、他書で扱われることの多いテーマ(組織や個がどう病んでいるか)には掘り下げて言及しないことを意図的に編集されたと思うので、その点、読んでいて暗い気分になることはありませんでした。