なんといっても楽しいのは、多数登場する濃いキャラクターたち。たとえば、「西郷部長」。35歳という若さで部長になった理由は、西郷隆盛そのままの大物然とした「雰囲気」によってのみ。「よかよか」と肩をたたくだけで信奉者を増やす。本書に登場するのは、こんなふうに極端に変わったC級の人たちばかりだが、まったくの異世界の出来事とは思わせないために本当のことを混ぜる、そのさじ加減が絶妙である。ケンカさえもメールを使って行ういまどきの社員の姿などは、あまりにも身近に感じられてどきりとさせられるほど。
大笑いした後は、明日の仕事もがんばる気力がわいてくる…というよりもなんだかどうでもよくなってくるような、痛快なギャグマンガである。(門倉紫麻)