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海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)

価格: ¥637
カテゴリ: 文庫
ブランド: 徳間書店
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距離感の移り変わり ★★★★★
「海がきこえる」の続編です。
文中での武藤里伽子と杜崎拓との間の呼び方の違いが
だんだん近づいていく二人を感じさせました。
これがもどかしいとかテンポが悪い
とかの評価もあろうかと思いますが,
私はこれくらいが好きです。

これの続編も案としてはあったそうですが,
もう永遠に叶わぬ夢となってしまいました。
前編を読んでいないと少し入りづらいと思いますので
ぜひ両方読んでください。
派生した映像作品に比べてテンポが悪い ★★★☆☆
 原作に関しては残念ながら、不必要に長い台詞や人物が登場したせいで、非常にテンポが悪くなっているように思われる。

 それに対して派生した映像作品は、意図的か、あるいはまったく非意図的かは分かりませんが、台詞を適当に抑え、不必要な人物やシーンを削除することによって、非常にテンポよくなっているように思われる。

 もしかして、原作はよく現実に近いかもしれませんが(例えるなら、定点カメラ方式に近いかもしれない)、娯楽作品としてはあまり好みのタイプではありません。

 本来なら☆2ですが、映像作品の思い出補正で+☆1で、☆3にしました。
『海がきこえる』の後日談 ★★★★★
前作とは雰囲気がだいぶ違います。
まず今作は回想としてではなく、進行形として書かれています。
舞台は東京で、大学生となった拓が里伽子や津村知沙に関わり合いながら物語が進んでいきます。
前作の、高知を舞台にした不器用で切ない、初恋を思い出すような雰囲気はありません。
前作のドラマを終えた拓達の後日談的な感じで僕は読みました。
もちろん拓や里伽子の魅力はそのままで前作の設定も上手く引き継がれています。
今作で書かれているテーマは全編で一貫しています。
それは少しも気取ったりカッコつけたりしないで直接語られています。
読み終えた時、本当に幸せな、優しい気分になれる小説です。
心がチクチクしました ★★★★★
「海きこ1」では、拓の高校時代回想シーンでほぼ出来ていて、そのため物語と同様に淡々と読み終りました。
しかし「海きこ2〜アイ」では、その後のストーリーが、1とちがいリアルに切なく進みます。
父と父の再婚者との関係に悩むリカコの気持ちも1よりずっと、ぐっと伝わってきて、心がちくちくしました。拓といっしょにリカコを励ましてあげたくなります。こんな気持ち、1になはかったな。
特に、さすが氷室さん!圧巻したのは、リカコと、義母(内縁だけど)のレストランの食事会のあたりから伏線がしかけてあって、ラストにかけて解かれていく事実に息を呑んだり、登場人物の気持ちもそれぞれの立場で想像がふくらみ、途中で読むのをストップするのが出来なくなるし、どうしても切なくなって、読み終わっても物語の余韻が全然消えないところ。氷室さんの物語、これからももっともっと読みたかったな。



後をひく小説 ★★★★☆
ジブリ製作の海がきこえるを見てどうしてもこの後の二人が見たく購入しました。アニメのラストシーンではそれまでなんというか、わがままな里伽子が大人びて非常に落ち着いていたのでこの後から本当の二人になるのだろうと思いました。しかし里伽子の本質というものは変わっておらずとてもある意味サバサバした関係が続きます。僕は二人の仲が親密になり大人の恋愛(へんな意味ではない)が始まるのだろうと思っていましたが実際はそうではなく、相変わらずの青春を送っていることに少々がっかりしました。しかしこうなったのは自分が大人の仲になると思ってしまったことにあります。なぜそう思ったかというとアニメのラストシーンで里伽子が会いたい人がいるから高知まで来たというセリフがあるからです。これによって里伽子は自分に正直になったのかと思ったのです。そこでなぜこうなったのかを確かめるため小説の1を購入し読んだところアニメのテンションと小説のテンションが異なっていることに気がつきました。小説をはじめに読んでいたらあのような期待を僕はしなかったでしょう。里伽子の状態が明らかに異なるため、小説とアニメはまったくの別物であると僕は思っています。アニメで続編を作ったら必ずしも小説と同じシナリオにはならないだろうと思います。
総じて感想を述べると、小説ではアニメよりもはるかに切なさがあります。読者としては拓と里伽子のある意味ゴール的なものを望みます(男性、女性で異なるかもしれないが)。しかし里伽子の正直な気持ちを拓は聞くことができません。というより里伽子は自分の正直な気持ちを言うような女性ではないのだと、拓は後で気づきます。しかし全てを受け入れても里伽子が好きだという拓に切なさを覚えるのです。この小説、というより作品は、はっきりと気持ちを表さず、また自分の弱さを見せたくないという里伽子にいつのまにか拓も読者も魅力を感じてしまうという不思議な小説なのです。