江戸の文化のレベルの高さをしみじみ思う。
★★★★☆
江戸の狂歌師・太田南畝の恋を描く、秀作。
山東京伝やもとの木網らが登場しては、狂歌できたえた洒落が炸裂。
ややもすると、人生斜めに見ていると思われがちな狂歌連だが、
そこは、旗本御家人、商家の主など、教養がある人は覚悟も違う。
自分がしっかりあるからこその遊びが、洒落になるのだろう。
悪役と見られがちな田沼意次を弁護するようなところもあり、
あとを継いだ松平定信の律儀な政治は窮屈だ、と言わんばかりの
書きっぷりは作者の意図か、狂歌連の真の姿か…。