昭和天皇という人について考える第一歩になった
★★★★★
保坂氏は、この「大河を行く」シリーズでは、過去と向き合う自らの思いや姿を見せながら史実を語る手法を使っていると思います
天皇としての責任の重さとそれに対する対処の仕方や三人の弟君との関係など、昭和天皇が一人の人間としてどのようにこの難しい時代を生きてこられたのかを考えさせられる著作です。
また、秩父宮が闘病のために晩年を過ごされた御殿場のエピソードや、高松宮の病を見舞うために昭和天皇が高輪高輪閣を訪れ、近所の「松島屋」の豆大福を食べながら若いころを思いだすエピソードなど、人間らしい皇族の姿が描かれ、他の皇室ものとは異なる面白さが随所にありました。
昭和という時代(戦前と戦中、占領中、占領後の三段階)を振り返る上でも大変分かりやすく、また、マッカーサーと天皇の関係や天皇制の在り方など、考えさせられる指摘が満載の著作であり、昭和という時代を理解するためにも多くの人に読んでもらいたいと思いました。