数秘術とは、かんたんにいうと自分の身に関係する数字を使った占いのことだそうだ。英語のアルファベットやヨーロッパ言語の文字ひとつひとつには、それに関係した数字があるそうで、自分の名前の綴りを数で表してから、その数字を足したり因数分解したりすることで、自分にゆかりの深い数字を見つけだすのだという。数字にはそれぞれ「性格」とでもいうべきものがあるのだそうで(たとえば「2」は女性的なのだそう)、出てきた数字により、自分の性格や歩むべき人生などがみえてくるのだそうだ。
はじめの3分の1は、ピタゴラスの定理や黄金分割をざっと説いたり、「1」から「10」という数字そのものの特徴を示したりと、純粋な「数の不思議」が話される。残りの3分の2は占いの話となり、数秘術がどんなものであるのか、その歴史と実例が紹介される。
はじめの3分の1と、あとの3分の2で、内容ががらっと変わる。理論で語る数学の話から、一気に占いの話へと移っていくので、けっこう違和感があった。
占いは、たとえば「John F. Kennedy」という人物を「JFK」と呼ぶか「Kennedy」と呼ぶかで、結果がちがってくるのだという。本には、ふだんよく呼ばれているやり方で占うべきだ、と書かれている。けっこうフランクな占いということだろうか。
本の終わりのほうに「(数魔術が)作用するためには、純粋で動機づけられた感情の基底がなければならない」とある。つまり、この数秘術を信じて、すすんで人生に取り入れようとする方は、この本を読んでそのやり方を知ればいいと思う。一方、そうでない方は、数学に興味があれば、はじめの3分の1を読めばいいと思う。
西洋社会の基礎テキストとして手放せない本となりそうです。