今回は「漫画好き」ではなく、「金魚屋好き」の方にお薦めです。
★★★★☆
実在の漫画を題材にした「漫画好きのための漫画」もとうとう10巻。
今回は、1冊の単行本で長編を掲載。
年の金魚屋古書店の目録づくりのために集まる常連。他の古書店で発生したキャリアウーマンの万引きも絡んで、10巻までに築いてきた各々のキャラクターの個性が生かされた長編になっています。
手塚治虫氏の虫プロが発行した漫画雑誌「COM」を軸に話は展開されますが、今回は漫画よりは常連のストーリーを楽しむ一冊になっていますので、今回は万人にお薦めというわけにはいかず……ですね。
常に新しい試みをしてくれるうれしさ
★★★★★
いつもは一冊に7本の短編が入っていると言う体裁の作品だけど、
この10巻では一冊で全体が一つのお話になっている。
形が違うと、受ける印象や読み応えも違うものなのだなあ、
ととてもおもしろかった。
アイデアや手間隙は、7本分のほうがかかっているのだろうけれど、
反対にこの一本のほうが、濃縮している内容を感じる。
かつての「金魚屋古書店出納帳」下巻の、描き下ろしの長めの話
(漫画の神様)をほうふつとさせる時間の流れ方だ。
7巻での雪のリンクなど、いつもなにかしらのしかけや挑戦をしてくれるので、
ちょっとしたお得感があるのが金魚屋の楽しいところ。
それでもストーリーはけっこう意外と真面目で、
「生き方」とか「在り方」とか、そんなことをふりかえらせてくれる。
耳に痛いところもありながら、
「そうだよね、がんばろ」と思わせてくれるいつもの金魚屋さんです。
この雰囲気が好きな方にはオススメです。
★★★★☆
芳崎さんの漫画はほんと独特の雰囲気がありますね。
私は非常に好きですが、連載している雑誌がIKKIということでおわかりの通り、
結構好みが分かれるのではないかと。
でも他の方も書かれている通り、安定感が非常にある作家さんなので、
一度はまれば一生好きになりそうな。笑
これもそんな感じの漫画です。
漫画を鑑賞すると言うことの深い意味
★★★★★
いつもにまして深みと味わいのある、読みごたえのある大人のための「一話」でした。
あきらめてしまう前に、
本当になりたい自分を目指す、手がかりにすることができそう。
今回泣いてしまったシーンは二箇所。
ねこたま堂さんの「単におもしろいおもしろいとほめそやすだけが、ほんとうのおもしろさじゃない」
「その存在に意味をつけられるのは、自分自身の心だけなんです」の微笑み。
そして延々10Pにわたって語られる、かの有名な漫画雑誌「COM」の一生。
特にその「生涯」のラストの切なさ、美しさ。
せどりのあゆちゃんのセミヌードの入浴シーンにも、ちょっとどっきりしました♪
「仲間たちが、漫画のために、共に語り合う」
10巻の大台にふさわしい、名著だと思います。
相変わらずの安定感
★★★★☆
出納帳時代から愛読していますが、もうパターンが決まってきましたね。
美味しんぼ的なノリになってきました。
トラブルが起きる→漫画が関わっている→金魚屋に行って解決!
という感じです。
しかし、自分はこのパターンと登場人物が好きなので買い続けてます。
それと、紹介されてる漫画が実にディープで勉強になります。
今回紹介されてる「COM」なんて、普通の漫画好きでもほとんどの人が知りません。
「せどり」という職業があることも、この漫画を読むまで知りませんでした。
漫画好きが知識を深めるために読むのにはオススメだ思います。