さて、あの当時を思い起こしてみると…。
試合は6月9日、日曜夜8時に行われました。この絶好の時間帯、試合の放送権を引き当てたのはフジでした。某都知事が「勝ったら"領土"を返せ」、と冗談(ですよね?)を飛ばしました。ベルギー戦前に「ロシアが一番の強敵」と言っていた評論家が、ベルギー戦引き分け後に突然「ロシアには絶対勝てる!」と根拠の薄い楽観論をぶちまけ、「どーゆー理屈だ」と苦笑した記憶があります。試合終了後モスクワ市内でサポーターが暴徒化し、邦人が襲撃されるという事件も起こりました。
試合全体を通してロシア優勢、特に後半はロシアの猛攻を前に日本は圧倒的劣勢に立たされました。シュート数は9対15、枠内シュート数にいたっては何と1対4です。しかし稲本の放ったその1本が、日本に歓喜を、世界に衝撃をもたらすこととなって…。
…日本が押されている時間帯が多いため、このDVDは鑑賞にあたって多少のストレスが伴います(笑)。ただ、日本がW杯で初めて勝ち点3を挙げたメモリアルな試合ですし、ゲーム中の見所も少なくはありません。あの試合に感動された方なら手元に置いときたい一枚だと思います。
個人的には背番号10・ゴン中山の登場シーンがお気に入り。出場20分でシュート0、ファール5、そしてイエローカード1…。逃げ切りを図るトルシエの用兵に応え、前線で泥臭くボールに食らいつくベテラン中山の姿に、胸を打たれた人は少なくないでしょう。 満足できる一枚でした。音声は実況・解説の有無が選択可。アフレコの実況が迫力薄なため星は4つ。