高僧のようです。
★★★★★
桜井章一という方を全く知らなかったため、書店で、こんな題名で気をひくとは、どんな本だろう?と少しネガティブな感情から手に取った本でした。
少し中を読んでみてものの5秒で、これは読まなければならない、と即購入。
感覚というものを最上レベルまで研ぎ澄ますと、こうも生き方が洗練されるのか・・・!!
凄まじいです。凄まじいですが、本当にしなやかな生き方なのです。
文章も断言口調ではなく、感覚的なものから導き出したのだなということが感じられます。
物事に執着せず、感覚を研ぎ澄ますといった人生訓は、お釈迦様の教え、仏教に通じるところがあるように思われました。
より、感覚的で、実践に近いと言えます。
この先、きっと何度も読み返すと思います。
「〜しない」以外をどう生きるか
★★★★★
「20年無敗の雀鬼」というだけで「何だか怖い。ゴルゴ13みたい・・」と敬遠していました。
最近著者の本が麻雀ではなく、人生論的なものが多く出版され敷居が低くなり私でも怖がらす?読めるようになりました。
読んでいると、養老孟司・甲野善紀・アルボムッレ・スマナサーラ・河合隼雄等ととても共通点を感じました。
何かで見知ったことで定かではないのですが、釈迦は「〜しない」と否定形で説法をしたそうです。「〜しなさい」では自分で考えず教えた方は絶対になってしまう。「〜しない」はしてはいけないこと以外は余白がいっぱいある。その余白は自分で考え創造する行動であると。
ひたすら「〜しない」で書かれてある本書を読んでそんなことを思い出しました。
桜井章一氏の「〜しない」以外は好きに生きていいんだよ。もっと自由に考えてごらん!という大らかな優しさを感じました。
努めて力まないのが努力
★★★★★
がんばれ、という言葉は、この日本の社会ではひとを励ますときに使う。自分はそれがいつもプレッシャーだったし、がんばろうとすればするほどうまくいかないことを幼心に感じていた。
それは、強く思えば、行動もついてくると思い、とにかく一生懸命集中しようとしていたことに原因がある。そう、力みが入ってしまうのだ。がんばろうと気持ちにリキが入れば、体が身動きとれなくなる。普段どおりの体の動きができなくなる。だから、努めて力まないということを書いていると思う。
そもそも、「努力しろ、ということは「がんばる」ということ、だから心頭滅却すれば火もまた凉し!」的な現実無視の精神論がいまもまだ日本にははびこっている。そうした旧陸軍的訓示が日本人の「努力」の本来の意味をわからなくさせたのだと思う。
がんばれ、努力しろ、という言葉は、応援の言葉でもなんでもない、力で弱者を屈服させる「言葉の圧力」でしかないとますます思うようになった。
人に言われて、努力するようだったら、それもまた努力ではない。圧力に対する従順でしかない、と思う。
そういう意味で、努力、の定義が感覚的によくかかれていると思った。
真面目で責任感が強いひとこそ、読んでほしい一冊。きっと楽になるから。
女の又に力
★★★★★
現代では、あまりにも「皆と同じであること」「競争」を強いられ「頑張ること」が美徳とされるがために「努力」し、そして疲れ果ててしまう・・・そんな現状を鋭く突き「努めて力まない」事の方が、様々な事をやり過ごせて、もっと楽に生きられる・・・と気づかせてくれる脱力法を教えてくれる良書だ。「壁にぶち当たったら」普通は、なんとか乗り越える「努力」を自らに強いる場合があると思うが、桜井氏に掛かれば「壁は乗り越えるのではなく、とりあへず上に乗ってみれば?」という説き方で「力の抜き方」を説明してくれていて、視点を変えるとはそういうことか、と改めて気づかせてくれる。これを読んだ後に、自転車や車の運転でも、ハンドルを持つ手は力まずに、ほとんど手を添えているくらいだな・・・と思いだされて「力を抜くこと」を実感できて納得。お疲れの「頑張り屋さん」にお勧めの一冊だ。
常にカバンに入れていたい本
★★★★★
努力や我慢、熟考といったものに疑問を持つ人、反発を覚える人にはぜひ読んでほしい本です。また、頑張っているのに上手くいかない人にも。
この本は、努力することでかえって柔軟性を失ってしまう、ものを持つことでむしろ不自由になってしまう。だから力まずに、何も持たずに物事に臨んだほうがスムーズにうまくいくのだ、ということを教えてくれる。新しいものや知識や力などを求めずに、今持っているものを使う方がうまくいくよ、と語っています。
一度読み終えて感じたのは、きっと今の時点で必要なものはすべて揃っているんだろう、頑張って何かを求めるとかえって今持っている大切なものをダメにしてしまうんだろうな、ということです。そして本書を読んで個人的に変わったと思うのは、ものに取り組む時に今までは10割の力で準備していたのが、今は5、6割の力でいいや、残りは感性やその場の思いついきに任せよう、と思うようになったことです。
すでに二度読み終え、三巡目に入っています。読むほどに緊張が解けるのがわかります。いつでもカバンに入れていて、日常生活のちょっとした空き時間に読むとずいぶん気が楽になります。